頼れる先輩を支えているのは、頼ってくれる後輩のあなただよって話。
仏のような頼れる先輩
学生時代は国際協力系のNPOに所属していた。
初めの参加動機は「せっかくのながーい夏休み、大好きだったウ○ルン滞在記を体験してみたい」だった。
5週間の現地活動を経て、見事に大号泣しながらホストファミリーとの別れを惜しむ姿は、誰が見てもウル○ンな滞在記だった。
当時20歳だった私はその後すっかり国際協力の世界に沼り、代表に名乗り上げ、もっと続けたいと親に頭を下げ大学卒業を遅らせ、結局フィリピンのレイテ島にはこれまで10回、のべ1年間は滞在するほど没頭した。
初めての参加時に、3つか4つくらい歳上の頼れる先輩がいた。
やんちゃでムードメーカーな次男、クールで生意気な三男の私、理想だけは熱苦しいポンコツリーダーの四男、そんな我々をその先輩は優しい笑顔で常に見守ってくれる、信じてくれる長男みたいな存在だった。
後輩がいるから先輩になれる
先輩は大学を卒業し大手建設会社に就職した。
学生団体だったため、先輩は社会人になって団体とは疎遠になった。
もともと自分からぐいぐい介入してくるタイプでもなかったし、当たり前のように卒業と同時に関わらなくなった。
しかし当時団体の代表だった私は、たまに個別に頼りにしていた。
少ない情報共有でも芯食った助言をくれ、私が運営に悩み泣きついたときには何も言わずただ話を聞いてくれた。
ある時なんの脈絡もなしに、ぽろっと先輩はつぶやいた。
「こういう時間も、いいもんだな」
私にとって大先輩でも、社会人一年目の先輩は会社でいちばんの下っ端。
たまにこうやって自分より下の世代が頼ってくれると、うまくバランスがとれるんだ、と。
へえと思ったが、あまり気にも留めず、でも印象には残った。
今なら深く共感できる気がした。
38歳、一年生
7年半勤めた会社を辞めた。
入社当時は20名くらいの部署だっただろうか。退職時には50名近くにまで大きくなり、自分は古い順から10番目くらいにまで古参になっていた。
退職日にたまたま部署全体の集まりが重なり、最後の最後にみんなと交流できた。
フルリモートなので、久々に対面で会うメンバーや、リアルでははじめましてのメンバーとも話すことができた。
今後もたまにレビューしてほしいと言ってくれるメンバーがたくさんいた。私と話がしたいからと、わざわざ2次会の途中から参加し朝まで一緒に飲んでくれた人もいた。
そっか、まあまあそれなりに頼れる先輩になれてたのかなと、嬉しい気持ちになった。そんなにまで慕ってくれていたのか。
そこであの先輩の言葉を思い出す。
38歳にして未経験業界に転職する。これまで培ったビジネススキルは無駄にはならないが、業界一年生だ。
教えを乞う機会は増えるだろう。うまくいかないことも多々あるはずだ。前職ほどの自己効力感はしばらく得られないかもしれない。
そんな時に救いになるのは、もしかしたら先輩ヅラ吹かせられる場なのかもしれない。
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