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本:漫画『少年は荒野をめざす / 吉野朔実』


[ 少年は荒野をめざす 1P ]


「あの少年は私
 今もあの青い日向(ひなた)で
 世界の果てを見ている」

『月下の一郡』で 既に 吉野朔実さんのファンだった私は
1985年9月号の連載開始から、漫画雑誌『ぶ〜け』で読んでいました。
1987年9月号まで連載され、ほぼ毎月 発売日に購入していましたが、途中で次男の出産後入院があり、
(元)夫に「欲しいもの無い?」と聞かれ
「ぶーけ」「なんだそれ…少女漫画雑誌か」「そう、今日 発売日」「嫌だよ、恥ずかしい」
と拒否され
「誕生日に、“渡辺満里奈”の写真集を買ってあげたじゃない! 私も恥ずかしかったんだから!」
と再度頼むも 拒否され、
退院日に自分で買いに行きました。
(これが離婚の原因ではないけれど、ちょっと恨んでいたかも…)
それくらい、この作品の虜になっていました。

吉野朔実さんの漫画は、連載中も雑誌で読み、
単行本になると必ず購入し、今年の2月まで殆ど全ての作品を所蔵していたのですが…

色々災難があり、今の部屋に越してくる時に、
自分の未来を描けなくなり
「次に この本達を整理するのは、多分 私では無いな…」
と思い、家族が処分する時に難儀しない様にと、
本の雑誌社のエッセイ漫画以外は、(泣く泣く)全て処分してしまいました。
二箱分でした。

ところが、引越後に行ったブックオフにて、漫画文庫の『少年は荒野をめざす』4巻を見つけてしまいました…。
その日売りに行った本の金額より多く払って、購入しました。
「これは運命だ」と自分に納得させて。

幸運な事に、単行本5巻にはついていなかった、
専門家による解説と関連の短編が各巻の最後についていました。
新たな発見もありました。

私は、狩野 都(主人公、中学生デビューの小説家)と黄味島 陸(都とそっくりな高校生、陸上部)
が、家出した後に心中しようとする処を、覚えていませんでした。

二人は家出した後に、直ぐに連れ戻されたと記憶していたのです。
陸が、外国に居るパイロットの実父に会いに行く為、都に別れを告げて旅立つラストは憶えているのに、
二人が色々な方法で自殺未遂する場面を、私は記憶から消していたのです。

多分、厭世的な思いに囚われていた自分が、それに導かれない様に。

「 私の記憶から
 解き放たれた 夢の少年は
 荒野をめざして 走ってゆくのだ
 あの時 そうしようと したように
 何処(どこ)までも
  何処(どこ)までも 」

[少年は荒野をめざす、ラスト]

久し振りに 漫画を読んで 泣いてしまった…

この作品達と吉野朔実さん
(…2016/4/20に57歳で亡くなりました…)
は、私の心の中から ずっと消えない…

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