クリエイターのインスピレーションのタネー鬼滅の刃&シン・ゴジラ&千と千尋の神隠し
美術館や博物館へ行くと、「これ、どこかで見たことある…」と思うことがある。もしかして、クリエイターたちのインスピレーションを得ているものでは?と思ってしまう。
まず紹介するのは、十和田市現代美術館で見た作品。作者の塩田さんによると「展示空間全体を包み込んだ赤い糸は、時間と記憶を運ぶ船をこの場所に繋ぎとめています」ということだそうだ。また「木製の細長い船は、十和田湖にあったもの」だ。
これを見たとき、テレビアニメ「鬼滅の刃」に登場する、鬼の累が発する血鬼術を思い出す。赤い血のような糸を使って天井まで、縦横無尽に繊細に編み上げられた糸のよう。絡まったら、動けなさそうな感じ。
次に紹介するのは、ソ・ドホ作「コーズ・アンド・エフェクト」。数万体の人の形をした彫刻が肩車をするように、積み重なっている。見上げるほど高い天井から放射状に吊り下げられており、圧巻の作品だ。これも、十和田市現代美術館にて。
これは、映画「シン・ゴジラ」のラストシーンがよぎる。えっ、これなに?何かの小さな塊?が重なっているように見えた。映画では一瞬で終わってしまう、印象的で意味深なシーン。説明も何もない。
最後、東京国立博物館で見た作品。灰袋子という仙人の彫像。「私の腹の中をのぞいてごらん、と大きな口をあけて指差し、人々が見ると口のなかは真っ赤で、腹の底は透き通っていた」ということだ。
これは、あれじゃないか。映画「千と千尋の神隠し」に出てくる川の神様、オクサレ様?最初はどろっどろの状態でヘドロの臭気たっぷりに湯屋に入ってくるが、千がゴミを引っこ抜くと、とたんに綺麗になって姿を現す。
「よきかなぁ~」
と言って龍の姿となり、空高く飛んで行く、最後の印象的な笑顔のシーン。オクサレ様の顔も好きだが、こちらの「灰袋子」の顔もいい。ずっと眺めて、毎日拝んでいたい。
ほかにも、映画「となりのトトロ」に出てくるネコバスは「不思議の国のアリス」に出てくる「チェシャ猫」だと思うし、映画「風立ちぬ」に出てくる菜穂子が絵を描くシーンは、モネの作品のなにかであるようにみえる。
とにかく、いろんな作品が互いに影響し合っているのだなーと思う。宮崎駿さんは、以前読んだ記事で、作品を描くときに「そのままの模写はしてはいけないが、記憶での模写はOK」とスタッフ伝えていたそう。
インスタなどで紹介される「まるで、ジブリみたい」というフレーズ。言葉とともに、色んな建物や場所が紹介されているが、そのジブリ作品にも、もちろん影響を受けた元ネタはあるのだ。だから、「まるで、モネの作品」や「まるで、アリスの世界」というフレーズがあってもいいのにな。むしろ、そっちのほうが表現に広がりがあっていい。
ということで今夜は、まるで灰袋子のような笑顔でまどろみ、うとうとと眠りにつこうと思う。