冬の息
物音一つ許さない様な
冬の夜の真ん中
白い息がそこに
生を与える
大切な人を待つ息
小さな手をあたためる息
止めることのない歩みのリズム
生きるものの証が
目に見える瞬間が
とても愛おしい。
ふと
今年は見ていないことに気づく。
確かに私は息をしているのに
この身体の中は熱いのに
それを可視化できる大切な季節は
もう通り過ぎようとしている。
命を守るために
心の灯まで覆っていた
窓を開け息を長く吐く
私の生が小さく夜空に浮かぶ
私たちは確かに
自然の中に生かされている
また街の夜空に
白い息が舞う日が
来ますように。