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しおりのひとこと


「清々しい朝を迎えられますように」
そう手書きで書かれた
優しいラベンダー色のしおり
裏面には四葉のクローバーの押し花
とある方が作ってくれた

本の世界に入るとき
本の世界から出るとき
そのひとことが必ず目に止まる
こころの中でふんわり浮かぶその一言は
異なる世界を行き来するための切符みたい

この手作りのしおりに込められた
誠実で素直な優しさに毎度ときめいてしまう

わたしは清々しい朝が大好きだ

でもわたしの身体は朝が得意ではない
立ちくらみなんて日常茶飯事の
低血圧人間なのだ
日によっては午前中は常にくらくら
なんてこともある

でも夜遅くより朝早くの方が断然好きだ
変な夢だったなあとか
登場してほしくない人出てきたなあとか
というかさっきのは夢だったっけ?
冷蔵庫にいちごヨーグルトあるのって夢だっけ?

っていうぽけぽけした時間
夢うつつを生きている時間を漂う

それが終わりかける頃
ほんの瞬間、凪がある気がする
頭がすっと静まり返るとき
これから始まる今日に切り替わるまでの
ほんの一瞬の、凪
悲しみも苦しみも悔しさも怒りもない
あるのはただ、凪
わたしにとっての「清々しい朝」は
そんな朝

愛おしい人にそんな朝が毎日訪れてほしい
眠れない夜なんかいらない
みんなぐっすり寝てほしいし
すっきり起きて清々しい朝を迎えてほしい
でも人間そういうわけには
なかなかいかない
眠れない日だって
起きられない日だってある

なんだか、そんなどこか切ないやるせなさも
このしおりの言葉に
込められているような気がする

本の世界と今の世界を行き来するための切符
ラベンダー色のそのしおりは
ラベンダー畑の香りのように
ふわっと安らぎをくれる 

ちなみにわたしは
どういうわけか切符が好きで
今でもたまに買ってしまう

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