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ブブのながいはなし50
「私も動かなきゃよかった」ブブは後悔を口にします。「どうしてそう思う?」木の精はちょっと不機嫌そうです。「ずっとあったかくて安心できるところにいれば、途方に暮れることなんかなかったはずだもの」ブブは思ったことを口にしてみました。「確かにそうだ。俺たちは安心できる場所にずっといる。でも、雨が降っても台風が来ても、どこへも行けない」それを聞いてブブはため息を漏らしました。そういうこともあるのだと、やるせない気持ちがどっとのしかかってきます。はあ、なんでこううまくいかないのだろうと思うしかありません。「君はどこから来たんだい?」木の精はブブに問いかけます。「よくわからない」ブブはなんの気なしに返します。「そうか、それは困った。君には根っこがないんだな。それじゃあ安定しない。途方に暮れるのも仕方ない」ブブにはすぐ理解できませんでした。「私に根っこなんてないもの」「君には自分を預けるものがないんだ。だから作ったほうがいい。そうじゃなきゃ大変だ」ブブにはいまいちピンときません。木の精もどうしたら伝わるものかと考えます。でも考えるとその分だけ、伝えたいことから離れていきます。考えがまとまる頃には、別の話になっています。そうして木の精は語り始めました。