ブブのながいはなし57
ブブは自分のことを考えながら歩くことにしました。もうすぐ誕生日だったはずです。でも自分の年齢が定かではありません。何年生きてきたのか、ちゃんと数えてこなかったのです。何年生きてきたのかは、ブブには必要のないことでした。ブブはどこから「自分」が始まったのか思い出そうとしました。でも、道に咲いている草花だけが目に入ってきて、自分のことはさっぱり思い出せません。最近考えていることだけが頭の中をぐるぐるとします。ひとりぼっちで寂しかったこと、ステップをうまく踏めないこと、歌を忘れてしまったこと。歩きながら、草花だけが目に入ってきます。それをじっと見つめていたら、なんだか今まで考えていたことはとるに足らないことのように感じられました。急にどうでもよくなってきたのです。まただ、とブブは思いました。でも、これでいいんだとも思います。いつだってそうなのです。うじうじうじうじ考えて、結局何かのきっかけで諦めてしまうのです。目の前には、つぼみを蓄えた草花がたくさんありました。そのつぼみをそうっとブブは触ってみるのでした。
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