ブブのながいはなし23
「全部消えてしまえ」そう思っても思っても何も消えていかないのです。その代わりに涙のせいでもう目に映る世界の輪郭はどうにもとらえられるものではなくなってしまいました。頭の中もカーッとあつくなってしまいます。鼻水で息もできません。苦しくてどうにもできなくなったブブは、肩に何か重みがかかっているのに気づきました。ふわっとしたかと思うとずっしりと重いのです。怖いと思う前に足が震えていました。本当に強い感覚は思うよりも先に体に現れるのでした。足が震えていることに気づいたブブは思います。「きっと幽霊だ」そうに決まっているのです。目は絶対に開けられません。ふわっとした重みはグラグラと動きます。まるで遊ぼうと誘っているようです。「いなくなれ、いなくなれ」心の中で固く念じるブブのことなどおかまいなしに肩のあたりでグラグラと揺れていきます。ブブの足は震えが止まりません。そして、肩に感じる重みはそれはそれは気持ちの悪いものでした。
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