ブブのながいはなし49
「俺たちはじっとしていてほとんど動かない。というより、動けないのさ」木の精だという声は矢継ぎ早にブブに話しかけてきます。「だから君たちがうらやましいよ。手を動かせて、足も動かせて、前にも後ろにも進める」ブブはじっと聞いていました。「ただ、動かなくても退屈はしないのさ。風の便りが届くし、遠くにいる者たちと話だってできる。念を送るっていうか、強い思いがあると繋がれるんだ」ブブは信じられないと思いながら、聞いていました。「本当さ。君の話も甥っ子から詳しく聞いてる。なんだか面白い話だった」「面白い?」ブブは疑問に思って、咄嗟に問いかけました。「君は途方に暮れて疲れて、それでもまだどこかに行こうとしてるじゃないか。体と頭がてんでバラバラさ。俺たちには頭と体をバラバラになんかできない。なにせ動かないから」ブブには全然理解できません。「動かない。それっていいかもしれない」ブブは木の精に同調してみました。「本当にそう思うのかい?」木の精はとっても不思議そうにブブを疑うのでした。
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