ブブのながいはなし31
ブブは歩いていこうとします。でも闇の中なのです。ほんのり明るい闇の中です。夜のにおいがあたりにたちこめていて、地面は歩くとクッションのような感触です。「ここはどこだろう」途方もない状況ですが、ブブにはもう全部がどうでもよくなっていました。自分の思ってもみないことしか起きないのです。休もうと思ったら幽霊が出てきて、闇に呑み込まれて、もうひっちゃかめっちゃかです。何を考えても意味がありません。そして、やっぱりひとりなのです。もう考えても仕方ありません。ブブにはどうにもできないことなのです。でも、どうにもできないことほど考えたくなるのです。考えても仕方がないから、考えたいのです。足は前へ前へ歩みを進めます。あたりは夜のにおいでいっぱいです。頭の中も空っぽなようで、不安や心配でいっぱいです。休もうと思った木はどこに行ってしまったんだろう。妙にクリアに思い出されます。樹皮の感触と温かさ。すぐそこにあったのに、それはもう遠くに行ってしまったのでした。
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