ブブのながいはなし43
ブブは困っていました。自分の好きなものが全然浮かばないのです。忘れてしまったのか、そもそもなかったのか、全然思い出せません。「好き」ってどういうことだろう? 考えるものではないはずなのに、考えてしまいます。なんだか全然見当違いなことをしている気がするのに、考えてしまうのです。ブブは木の下にそうっと腰掛けました。途方に暮れたのです。進むこともできないし、自分のこともよく分からない。前に進める気がしませんでした。ブブはため息をつきました。「ステップのこと思い出して」どこかから声が聞こえた気がしました。「幽霊?」背筋がなんだかゾクッとします。「ステップさえ踏んでいれば前に進める」そんな言葉が頭に浮かびます。ブブは頭で考えすぎていました。考えれば考えるほど前に進めなくなるのです。そうして、体の動きが止まって、頭の中だけがグルグルと回転して気持ちが悪くなっていました。「ステップ、ステップ」ブブはひとり言のようにつぶやきます。でも、やっぱり体は動こうとしないのでした。
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