ブブのながいはなし51
「昔、君と同じようなやつがいたんだ。俺たちの周りをうろうろして休んで、またうろうろして休む。せっかく歩いてどこへでも行けるのに、なんで同じところばっかりうろうろしているんだって俺はちょっとイライラしてた。でもそいつは、君のように語りかけてこなかったから、話はできなかった。なんだかむずがゆいと思っていたら、急にそいつは動かなくなったんだ。最初は寝てるのかと思った。でも何日も動かなくなってしまったんだ。なんでこんなことが起きたのか、俺には全然わからなくて、君に教えてもらいたいくらいだよ。でも、ひとつだけわかっていることがある。そいつの呼吸は最初からとても浅くて、体も錆びついていた。体はきっとずっと悲鳴をあげていたよ。聞こえなかったのかもしれないけど。うろうろうろうろ、落ち着かなくて、頭に足が生えてるみたいだった。地に足がついてるんじゃなくて、頭が地についてるみたいな感じだよ。体はもっと自由に動きたかったはずなのに、頭に禁じられていたようにも見えた。とにかくちぐはぐだった。君もそいつに少し似てる。動物だって、植物だって、地に根を下ろして養分をとって、太陽を浴びて体の中を循環させることが大事だろ」ブブは黙って聞いていました。そして太陽を見上げました。雲がかかってすぐに見えなくなってしまったけれど、太陽はちゃんとそこにありました。
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