ブブのながいはなし32
ブブは歩いていました。ひとりてくてくというより、ふわふわとです。それから疲れていました。そもそも疲れていたのです。休もうと思ったのに、ステップを踏んで、また歩いているのですから。そしていまさら気づきました。足元はクッションのようなのです。だったらここで休んでしまえばいいのでした。「もう疲れた」ブブは足を止めて、座りこみます。目を閉じて今度は逆に「闇よ、私を呑み込んで」と思いました。目を閉じると目を開けていた時よりも明るい気がします。そうして眠りはやってこないのです。呼吸を整えても、体の力を抜こうとしても、眠りはやってきません。ブブはいつまで経っても意識を手放せないのでした。