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ブブのながいはなし35

ブブはいつのまにか目を閉じていました。すうっと意識は宙に浮いていきます。宙ぶらりんの意識をブブの寝息が揺らします。ゆらゆらと、落ちそうで落ちない意識がブブのそばで揺れるのです。生暖かい風も吹いてきますがブブは気持ちよく眠っていました。やっと眠れたのです。ブブは安心していました。色々なことが分かったのですから。もう帰るだけなのです。あったかい場所に帰りたいのです。ブブは寝息を立てます。今度はゆーらゆらとブブの肩のあたりで幽霊が踊り出します。「ステップを忘れないで」と幽霊がブブの耳元で囁きます。ブブは大きく息を吐き出して、まるでその言葉を吹き飛ばそうとするようでした。幽霊はそんなことはお構いなしに踊っています。風と手を繋ぎ、ブブの周りを賑やかに駆け回ります。なんとも楽しそうなのです。「ステップだよ、ステップ」幽霊はそう言って風とともに飛んでいってしまいました。闇はやっぱりちょっと明るくて、真っ暗ではありません。ブブは相変わらず寝息を立ててとても気持ちよさそうです。深い眠りと浅い眠りを繰り返し、頭の中が整理整頓されていくのでした。

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