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ポール・セザンヌ / メトロポリタン美術館
ブブのながいはなし21
ブブはぎゅっと目を閉じて心の中で念じてみます。「みんなどこかへ行ってしまえ」暗い建物の中でとても怖いのです。その怖さをぎゅっと目を閉じること、念じることに全部込めてみようとしているのです。そうでないと、もうどうにもこうにも自分が保てない気がするのです。怖さが自分より大きくなって、吞み込まれてしまいそうです。どこかに力を込めて、それで自分の芯を失わないようにしてみます。小さくなあれ、小さくなあれと思っていたあの時もなんだか同じ気がします。ブブの体は気持ちにつられていつも安定しないのです。もしかしたら、体じゃなくて自意識というものなのかもしれません。でも、ブブにはそんなこと到底分からないのでした。力を込めて、力を込めて、ぎゅっと目を閉じます。心の中で念じます。「誰もいない」「誰もいない」ブブはそう思おうと必死です。でもどこからか声が音ではなくて、気持ちとして届くのです。「また一人になってしまうよ」と。