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ブブのながいはなし52

ブブはながいこと黙っていました。木の精の話を最初から何度も反芻していました。どういうことなのか、自分の頭で考えようとしていました。「君も頭が働きすぎて、そのうち頭が地についてしまうよ」木の精はブブを心配して声を掛けました。ブブはそれもどういうことか分からず、黙っていました。「頭がどんどん大きくなってる。外から見ているとよーく分かるよ」ブブはなおも黙っていました。「さっき見上げた太陽の光は頭に届いたかい? 考えなくたっていいことだってあるのさ。ただ受け取ればいいじゃないか。自分の頭でなんでもかんでも考えて考えて、自分のものにする必要なんてないじゃないか。俺の言ったことだって、別にすぐに理解してもらわなくていい。ただ聞く。それだけでもう俺は救われてる」ブブはさらに訳が分からなくなっていました。「ただ聞く?」「そうだよ。それ以下でもそれ以上もしない」ブブはやはり黙っていました。「何も頭の中で考えなくていいんだよ」そう言われて、ブブはいつものとおり考えはじめてしまいました。

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