ブブのながいはなし39
ブブは木の幹に手を置いてみました。ブブよりも長い間生きている木に生命力を分け与えてもらいたいと勝手に思ったのです。木の樹皮は相変わらずごわっとしていて、触り心地は全然よくないのですが、なぜか木を触っているんだという特別感がありました。普段触れることのないもの。それはブブにとって不思議な感触であり、特別な瞬間でした。硬くてごわついていて、気持ちよくもなんともないのに、心に引っかかる何かがありました。その何かは言葉では表せません。ブブに思い浮かぶのは、海でした。どこまでも広がっていて、水がたっぷたっぷで、波を立てて。木は、そこにじっとしているのに、なぜか中では躍動している気がしました。目をつむると、さらに強く感じます。波の音、生きている小刻みな動きの集合体。木からにじみ出るエネルギーをどこかで受け取っているのでした。
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