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東洲斎写楽 / メトロポリタン美術館
ブブのながいはなし56
ブブはすたすたと歩いていきます。力がみなぎる感じがしていました。そしてどこに行けば歌が思い出せるのか考えてみます。歌があったのはあったかくて安心できるあの場所でした。ブブが戻ろうとしていた場所です。自分のやろうとしていたことが間違ってなかったようでした。ブブは嬉しくなって、歩く速度を上げました。でも道が定かではありません。真っ直ぐただ歩いてきたはずでしたが、本当にそうなのか急に心細くなりました。足も急に重く感じます。また、つまずいているとブブは空しい気持ちに襲われました。そして次々に不安のボールが自分に向かって投げられてくるようでした。歩いている方向は正しいのか、本当に戻れるのか、考えても仕方のないことがブブの頭の中を占拠しはじめます。また、いつもと同じです。せっかく目的を見つけたのに、何も変わってない気がします。そして、またひとりになっていました。木の精もいません。風の精なら一緒についてきて話し相手にもなってくれるのに……とブブは残念に思いました。ないものねだりが始まっています。ブブはどうしたら、思い通りになんでも前に進めていけるのか、今度は別のことを考えはじめるのでした。