ブブのながいはなし34
ブブはあったかい布団にいたことを思い出しました。自分をふわっと包み込んでくれて、安心感に満ち溢れていて、いい匂いがしてそこがブブにとって一番心が安らぐ場所でした。その中にずっといたいと思いました。でも、ずっといることはできませんでした。その布団はおばあちゃんの布団でした。もういないのです。あったかくて、安心感で包んでくれるおばあちゃんがいないのです。ブブには認められないことでした。だからブブは歩き出したのでした。自分の安心できる場所を求めて、でも心細くなって、一人ぼっちで不安になって、引き返すことにしたのでした。ブブは全部思い出しました。というより確認しました。自分が求めていた場所、失ってしまったもの、でもまだ認められないこと。ブブは最初から分かっていたのかもしれません。でも、認めたくないし、認められなかったのです。ブブは強情でした。ブブは自分勝手でした。だから歩き始めたのです。全部が納得のいくことでした。そうして、早く戻りたいと思いました。あったかい布団はもうないけれど、あったかい布団があった場所はまだあるのです。いろんなことが分かってくると、ブブは急に眠くなってきました。大きなあくびがでます。目の前がゆらゆらと揺れています。
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