ブブのながいはなし19
ブブは座れるところを探しました。そうしてちょうどいい木を見つけたのです。「あの木の下なら安心できそうだ」そう言って、木の根元に腰掛けます。木の表面はザラザラとしていて、なんだかちょっと気持ちが悪いけれどずっとそこにある安心感のようなものが芯にあるような気がしました。「ここにずっといるのね」ブブはひとり言のようにつぶやきます。「そうだよ」どこから声が聞こえた気がしました。なんだか安心しました。ずっとそこにあるもの。それはブブが今からまさに帰ろうとしている場所のようでした。私にもずっと安心していられる場所があったはずなのでした。「今日はごめんね。ちょっとお邪魔します」ブブは木に向かってつぶやきます。どこからも返事はなかったけれど、ブブを包み込む温かさがあるように感じました。私にもこんな場所があったのかな。ブブは必死で思い出そうとしますが、頭が疲れて全然何も思いつかないのでした。
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