見出し画像

心踊り続けた色鮮やかな時間【w.o.d.】

ここ数年、私はガレージ・グランジロックの魅力にどっぷりとはまっている。


元来私は、いろんな思いや考えを自分の中で押し殺して生きる、「No」と言えない、まさに典型的な”日本人"気質だった。
表ではニコニコしていて、腹の底では、全く反対の顔をしていることなんていつものこと。
学生時代はそれでも全然うまくやっていけた。
でも、社会人になると、どうにもうまくいかないことが続いた。
そもそも慣れ親しんだ地を離れて一人、まっさらな状態で社会人としての生活が始まった。
学生時代のように気軽に気楽に他愛もない話をする友人なんて簡単にできるわけもなく、
私は以前にも増して、自分に殻を作って偽って毎日をやり過ごしていた。
ただ学生時代から変わらないことは、毎日毎日飽きもせず音楽を聴くこと。

私自身、学生時代バンドをしていたが、音楽知識はほとんどなかった。
音のバランスも頭で考えるより、感覚で覚える派だった。
ジャンルについての知識もほとんどないが、今の私がガレージロック・グランジロックに惹かれる理由はなんとなくわかる。


丁寧に、優しく寄り添うように音を鳴らすのではなく、ガシャガシャと鳴り響く煩いほどの音圧、疾走感のある曲調、力強い歌。
ギター、ベース、ドラムがかき鳴らす暴力的な強さ。
“生きてる証"のような強さを持った音楽。


私の心の奥に息を潜めていた、本当の感情が堰をきって溢れ出る、そんな感覚。
私が叫べない代わりに、この音楽は煩く力強く掻き鳴らして掻き殴ってくれる、私の心の代弁をしてくれる、そんな風に感じたのだ。

その音楽は、まさに魂の叫びで、”ロックンロール"の名にふさわしいものだと私は思っている。


さて、今回は8月12日に行われたw.o.d.の「バック・トゥー・ザ・フューチャーⅢ」のライブレポです。

w.o.d.にいつハマったかと聞かれると、正直あまり覚えていない。
Spotifyでよく聴くようになった。
カセットテープが出てるのを知って買った。CDでの新譜も買った。
いつかライブに行きたいな、と思うようになった。
そして、チケットを取った。
そんな流れである。(面白みのあるエピソードが全くなくて自分でもびっくり。笑)
ちなみに、出会いを遡ると、若手バンドのコンピレーションアルバムに『1994』が収録されていて、それで知ったのが一番初めだったりする。



ライブを見たことがないバンドのライブに行くのは、いつだってドキドキする。
お客さんの層や、ライブの様子、ノリ方の正解がわからないから。(もちろん正解なんてないんだろうけれど。。)
ましてや、ワンマン。

尚更緊張と少しの不安を持ってライブハウスへと足を運ぶ。

ライブに行くときは、毎回、周りのお客さんの様子を見ることも私にとっては楽しみだったりする。
お客さんの層や見にきている方のファッション。
そしてライブ開始までの会場の空気。
ライブに来た、という実感と、これから始まる音楽に対するワクワク感が私の中で静かに膨れ上がる。
見に来ている方は幅広い世代の人がいて、w.o.d.の音楽がたくさんの人たちに刺さっている、という実感をした。
世代を問わず愛されるバンドだからきっともっともっと大きくなるなぁ、という期待感も増した。


そして、会場の照明が落ち、BGMが止み、
ついに、私にとって初めてのw.o.d.のライブが始まった。


梅田クラブクアトロに鳴り響いたのは、


大きく歪んだベースの音。

忙しなく刻まれるドラムのメロディ。

そこに覆いかぶさるギター。


イヤホンでたくさん聞いてきたメロディが、
想像通り、いや想像以上に全力で私に殴りかかってきて、
思わずニヤリと笑みが溢れた。


この音圧、この音楽!
まさにここライブハウスで聴きたかった音楽だ、、!!!
心の奥の私は両手を天に掲げて大きくガッツポーズしていた。


よく見えるように、と会場の2段目を選んだのだが、
(梅田クラブクアトロは、ステージが1段目にあって、フロアは1段、2段、3段と階段状になっている。)
すぐにそこに座ったことを後悔した。
足の高い椅子のおかげで席に座ると、ステージがよく見えるのだが、椅子を降りると、椅子が高くてステージが見えにくくなる。
私は大人しく椅子に座って見ていたが、1段目はパイプ椅子のためみんなスタンディング状態。
足を地につけない状態がどうにももどかしく、足でリズムをとりながら、とにかく全身で音楽を浴びた。


ライブのボルテージっていうものは、徐々に上げていくものだと思っていたのだが、どうやらw.o.d.のライブにおいてそんな方程式は不要らしい。
歪みまくったベースの音圧にすっかり飲み込まれてしまった私は、1曲目から完全に目の前の彼らに魅了されてしまった。

ライブが始まるまでの不安感とか、そんなものあっという間になくなった。
曲が終わって、拍手が終わって、少しの静けさが訪れる。
曲間の繋ぎがないと、静寂が生まれる。
私はライブで目の当たりにするそのわずかな静寂の間に、急に現実に戻されることがあるのだが、w.o.d.のライブはそれを感じさせなかった。
その静寂すらも静かに感じさせないほど、短時間で私の脳みそは彼らの音楽に順応してしまった。


今回のツアーはアルバム『LIFE IS TOO LONG』リリースツアーとだけあって、アルバム曲中心に構成されたセットリストだった。
このアルバムを聴いた時、真っ先に、ライブハウスで、この音圧を体感したい!!!と思ったので、今回のライブでそれがやっと叶った!!!という気持ちが何より強かった。

そして、実際に目の当たりにしたスリーピースの彼らの演奏は、
ベースが土台を作って、ドラムがリズムを作って、ギターがそれに色をつけて、、なんて構成を感じさせなかった。
なんというか、それぞれの楽器が大きな柱を担っていて、支えとなる柱の上に彼らが立っている、みたいな感じ。
誰が主役、とかではなく、全ての音が平等で個性に溢れてて、とにかく鮮やかなバンドだなぁ、と感じた。
そして、スリーピースだけど、全く物足りなさを感じさせない音。音圧。
個人的には、ライブハウスで聞く歪みまくったベースの音が、体の奥まで響いてきて、中毒気味なくらいに気分をかき立てた。

どの曲も同じくらいの高揚感で聴けた。
それほどまでに私はもうすっかり目の前の彼らに虜になっていた。


声を出せない、キャパいっぱいに集客できない今のライブハウスでも、お客さんはそれぞれ自由に身体を揺らして、拳をあげて、ちゃんとライブは創り上げられるんだ、ってことを改めて感じた。
ただ1つだけ、『lala』は、こんな状況下じゃないライブだとみんなで合唱したりするのかなぁ、なんて思ったり。
もしそうならその景色を体験してみたいなぁ、とも思ったり。
今はできないそんな素敵な空間を思い浮かべながら、私は心の中で一緒に歌った。



ライブハウスに足を踏み入れて、音楽を目の当たりにした時。
私を覆う幾つもの偽りの殻はあっさりとぶっ壊れてくれる。
本当の私でいさせてくれる音楽が、ライブが、やっぱり私には必要不可欠なのだ。と再認識した。
本当に音楽って言葉で説明できないような力を持ってると私は信じてやまない。(でもそれをどうにか言葉で説明したいと思って文章書いているんですがね…笑)
やっぱり私は音楽が好きだなぁ、
改めてそう感じさせてくれるほど、本当に初めの1音目から最後まで、ずっとワクワクさせられっぱなしのライブだった。
そして、ライブが終わって椅子を降りた瞬間、(足でリズムを取りすぎて)筋肉痛で足が微痙攣してたのが衝撃的だった。。笑
w.o.d.のライブは立ち見に限るなぁ。笑



ライブの〆はこちらの曲。
まっすぐな強さを持った音を奏でる彼らが演奏するからこそ、この優しさがより響いてきますね。



==========

最近色々とまっったく更新できていなかったので、私の創作意欲が死んだのかと自分で心配していました。笑
なので来月は、SNSとnote(勝手に)強化月間とします。(したい。)

9月もライブレポは書いていきたいのですが、早速、1つ行く予定だったライブが中止となりました…。
延期ではなく、中止…。
初ライブになる予定だったバンドなので、尚更悲しい…。。
それだけまだまだ油断できない現状、ってことですよね。尚更日々の予防、しっかりしないと…!!




きいろ。

最後まで読んでいただきありがとうございます!スキをぽちっとして押していただけるとより励みになります!(アカウントがなくても押せちゃいます◎) いただいたサポートは音楽・表現物に還元させていただきます。