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小さな世界の見つけ方

いただき物のインスタントコーヒーの瓶。
使い終わって処分しようと、ラベルを剥がして気がついた。
  
ガラス瓶の側面にコーヒーカップと、そこから立ちのぼる湯気が刻まれていたのだ。
こんなところに。
ラベルを剥がさなければわからない、こんなところに。
  
なんだか、ほっこり。
誰かが隠した宝ものを見つけちゃった気分。
アートって例えばこういう事なのよね、
とも思ったり。
  
なくても良いけれど、
あったら、心がほんのちょっとだけ刺激されるもの。
  
なくても困らないけど、
やってみようと思った小さな試み。
  
誰の考えなのか。どこを通ってきた作業なのか。
今、とある海辺の小さな田舎にある、この小さな家で、きっと大量生産されてるであろう、このガラス瓶に私はほっこりしてる。
 
それってちょっと特別じゃない?
小さすぎる瞬間で、まばたきの合間にすぐ消えてしまうような高揚感だとしても。
  
 
誰に声を届けるでもなく、
ありがとうとか、呟いてみる。
 
向こう側の世界から届く返事は、
描かれたカップの湯気の、珈琲豆の香りか。
それとも、ガラス工場の機械音か。
  
 

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ame
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