静と動
クライエントさんから紹介されていた、ドラマ「SHOGUN」を観た。
(基本、クライエントさんとのお話の中に出てくるものは、すべて観たり読んだりする。アニメとかも。)
アメリカでエミー賞受賞。最多の18冠。
1970年代に出版された、ジェームズ・クラベルのベストセラー小説が原作なのだけど、現代に甦らせたそれは、さすがの映像美だった。
私は大河ドラマも時代劇もあまり好きではないのだけど、この作品は、細部まで深く美しく、魅入ってしまった。
真田広之演じる、家康をモデルにした虎永という主人公が、駆け引きと熟慮により天下をとっていく様子を丁寧に描いたもの。
謎めいた女性、鞠子役のアンナ・サワイが見せる素晴らしい演技とその佇まいの美しさは格別。
カギを握るイギリス人航海士とのやり取りや、人間味の表現も、脚本やカメラの新鮮さを感じた。
アメリカで作られる「日本」のイメージ、という雰囲気が全くなく、何というか、ちゃんと全部日本だった。
昔の日本人、私たちの先祖の人々は、すごい時代を生きたのだな、と、重く重く思った。
すごく昔の話なのに、現代まで脈々と通じる血を感じることができたような。
主君に忠義を誓うことは、命令され、それに従うという、窮屈で逃れようのない単純な世界ではなかった。
自分の生き方を熟慮し、決意し、覚悟した上で、その先に忠義というものがあるのだと、初めて知った。
今の時代は忠義なんて言葉も聞かないくらいだけど、
それでも人が持つそれぞれの哲学には、ずっと昔からの感覚が受け継がれているような気もする。
自分の発言がどんな力を持つのか。
または、言わないことが何を守るのか。
どんな言葉を持って表現しようとするのか。
自分の中の静と動を操りながら。
それはきっと、海外から見たら異質なものに違いない。
もっと若い頃にこれを観ていたら、私ももっと我が身について考えられたかもしれない、などと思いながら、
今の私だからこそ、腑に落ちるものがあるのかも、とか。
私は何を柱にして生きているんだったろうか。
何の覚悟を持って生きたいだろうか。
まだ、遅くはないものか。
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