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新ボイチャサービスのmixroomに「昔のニコニコ動画」の面影を重ねる

色々ありまして年末年始はツイコールに熱心だったわけですが、最近はクラブハウスが話題になるわTwitterのアカウントが永久凍結されるわでテンヤワンヤになったこともあり、一時期のやる気が薄れておりました。とはいえ「人と話したい」という欲求は相変わらず存在するため、一時はクラブハウス導入のために中古のiPad購入を検討したりもしました(僕はiOS端末を持っていない)。

とかなんとか考えている間に、また面白いサービスがスタートしていました。ボイスチャット界に彗星のごとく登場したmixroom(ミックスルーム)であります。

他のサービスと比べてどうなのか

mixroomはブラウザ上で動作するボイスチャットサービスであり、早い話がクラブハウスとツイコールを簡便化&いいとこ取りしたスーパー便利な遊び場です。まだサービス開始直後ということもあって機能も暫定的かつユーザーも少ない状況ではあるものの、将来的には先行サービス同様の使用感と人の集まりが期待できます。

前述の通りブラウザ上で利用可能なため、「外部アプリのインストールが不要」であり「対応端末のOSも自由」です。

クラブハウスから弾かれたAndroid&PCユーザーの僕も全く問題なく使うことができます。ネットに繋がる機器なら誰でも使えるってのがいいところです。

個人的に嬉しいのはPCから利用可能という点で、これにより在宅で仕事をしながらほどよい環境音代わりに誰かの会話を流すようなことも簡単になりました。また、ボイチェンソフトを噛ませて性別や年齢といったパーソナルな部分を隠す工夫をしたい人もいるでしょう。そういう人も、スマホと比べた場合容易になると思います。この「ボイチェンを噛ました上での会話」みたいなものに対して僕は肯定的希望みたいなものがあるんですけど、それは後述します。

会話を開始するには、ルームと呼ばれる部屋を作成し、参加者を待つだけです。ほどなくルームを見かけた誰かが来て会話が始まります。TwitterやLINEでルームのURLを共有し、任意の人を参加させることも可能です。複数人がルームに参加してワイワイ盛り上がることもできます。逆に、他人のルームにアクセスして会話に参加することも可能です。

音質は非常にクリアですし、ラグもほとんどありません。感覚的には、LINEの通話機能を利用しているときとほとんど変わらない印象です。ツイコールも相当高品質音&ノーラグでしたけど、mixroomも同じ感覚で使えます。個別の通信環境等によって音の途切れや遅れが生じる可能性もありますが、ストレスには感じない程度です。本当はクラブハウス(ラグがマジで少ないらしい)と比較したかったんですが、僕がiPhoneを持ってないばっかりに体験できていないので悪しからず。

あと、参加者の誰かがルームから落ちたとしても数秒後には簡単に復帰できるため、バグからの会話中断→元々いたルームに入れずイライラ→「ルームに残っているあいつらは!俺が抜けたのをいいことに!俺の悪口を!言っているに!違いない!!!」みたいな地獄の発想に繋がることもないでしょう。

一方で、ひとつのルームに複数人の入室が可能なことがダルくなることもあります。これは僕がネットで人と話をするときに基本的には一対一で話したい(人が多いと誰と喋っていいかわかんなくなるから)と思っている人間だからで、個人的な良し悪しの話です。今の所mixroomでそういったシチュエーションに遭遇したことはないんですが、例えば「一対一で話が盛り上がっていたのに、急に知らねえ奴がルームに入ってきて関係性がリセットされる」みたいな状況があるとわりとストレスフルになる人間なので、そうなるとダルいよなーとは思います。

とはいえ、ルーム名や任意で設定可能なタグにその旨を含む文言を入れれば性善説的には一対一の状況をキープすることは可能です。また、だからこそツイコールとmixroomというサービスを必要に応じて使い分けるべきであるともいえます。何事も工夫で乗り切っていけばいいじゃないのという感じですね。

ただまあ、今後mixroomがツイコール的な一対一通話専用ルームを開設する等のアプローチは十分あり得ると思うので、そうなったら完全に鞍替えするだろうなと思います。

あと、僕も大人数でワイワイ話したいときがあるっちゃああるので、その時はその時でいい感じにみんなで話せればいいんじゃないかと思っています。とりあえず直近だとR-1グランプリ決勝のときにmixroomに集合してみんなでゲハゲハ話しながら見るなんてのが面白いんじゃないでしょうか。

今後どうなってくれたら嬉しいのか

開発者のy-ohgiさんはmixroom公開にあたり、以下のように宣言しています。

mixroom は"目的ベース"でボイスチャットをする場所を提供するサービスです。

引用:サーバーレスでclubhouse みたいなボイスチャットサービス「mixroom」を開発しました

すなわち「誰か」と話すために集まるのではなく、「何か」をする相手と遭遇するための場所として運営するという理念に基づいたサービスであるといえます。これは社会的認知度の高い人(有名人)や発信力の高い人(インフルエンサー)の集まる場所という言い回しが独り歩きして有名になったクラブハウスと真逆の考え方であるように思えます。個人を分別する必要が希薄なインターネット空間的とでも言えるでしょう。

こういった方向の指すものとして、僕はゼロ年代以前のインターネット空間を連想します。もっと具体的に言えば「僕(ら)は昔のニコニコ動画に希望を持っていたけど、mixroomにはそれと同じものを感じるよね」ということです。もちろん「昔のニコニコ動画」は人によってどのタイミングを指すかが変わるでしょうけれども。僕の場合はこれです。

でも、これじゃない時代のニコニコ動画を「昔のニコニコ動画」と感じる人がいてもいいと思うし、もっと言えば「何がニコニコ動画だよガキが俺の青春はふたば☆ちゃんねるだアホボケ」「俺ははてなじゃゴミが」みたいな思いの人もぜんぜん肯定します。そういう人とも話したいですよね。mixroomで。

ニコニコ動画の話に戻しますけど、少なくとも僕は、誰だか知らないヤツがボコボコ出てきて、意味のわからない発想で突飛な(そして大概の場合デキの悪い)動画がアップロードされる空間が好きでしたし、それに対して誰だか分からない人間としてコメントを書き込むのも好きでした。

前述した「ボイチェンで話しかけてくるヤツがいるのも面白いよね」みたいなのも、まさに昔のニコニコ動画感から連想されるものです。コンピューターにおける身体の拡張性とか、ネットワーク世界にのみ存在する人格の共有とか、まあそういう言い回しでもボイチェン野郎のことを肯定できるんですけど、芯の通った言い回しとして昔のニコニコ動画感というものを選びたいと思います。

流れ流れてmixroom

じゃあ、どういう状況になれば昔のニコニコ動画みたいになるのかというと、やっぱり面白いメンツがmixroomにたどり着くようになればいいですよね。さしあたっては「ネットで通話するのは好きだけど、他のボイスチャットでは満足できない人たち」が来てくれたら面白くなるんじゃないかと思います。そういう層は、多からずともそれなりに存在すると思います。少なくとも僕の場合はそうだったので。

散々言っているように、僕はAndroidユーザーなのでクラブハウスは使えません。国内発のボイスチャットだと「Yey!」というサービスがありますが、あれは2ちゃんねるに対しての爆サイみたいなもので、あんまり文化の香りがしないのでNGです。基本的にスマホアプリを基幹としたボイスチャットサービスは10代の利用者が多いのでオジサンには辛いのです。

じゃあツイコールに出戻りするのはどうなんだ、となるとこの記事でも書いたとおり利用者はゲーム好き中高生と裏垢ばっかりなので、最近はさすがにシンドくなってきました。DiscordやSkypeやZoomは基本的に知り合いと使うものなので除外です。

結局、僕の場合は、カルチャーの人とテクノロジーの人と話すのが好きなだけみたいです。2021年に「ごっつのコントで1番好きなの何?」とか話してるし。でもそういうヤツが巣食うサービスもあっていいじゃないですか。

クラブハウスが先行サービスとしてiOS限定をアピールしてくれたのもmixroom的には良かったんじゃないかと思います。少なくともひねくれ者のAndroidとPCのユーザーはmixroomに集まってきますから。YouTubeで満足できない層がニコニコ動画を作り上げたように、AndroidとPCのユーザーがmixroomをもっと面白い遊び場に作り上げれたらいいですね。こういうの、人があんまりいないうちにしかできないでしょうから。自分の遊び場は自分で作れたほうが楽しいと思うし。

<ヘッダーはサーバーレスでclubhouse みたいなボイスチャットサービス「mixroom」を開発しましたより>

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