生成AIとDXによる営業効率化 アンビエントナビの戦略的取り組み
はじめまして!
株式会社アンビエントナビでVP of Salesをしている上江田です。
私は新卒で株式会社リクルートへ入社後、2020年から2022年までの2年間、株式会社リクルートマーケティングパートナーズのまなび領域においてスタディサプリの法人営業・カスタマーサクセスに従事してきました。
いわゆるThe model型ではなく、リード獲得から新規開拓、契約後のカスタマーサクセスおよび深耕営業を一気通貫で担当させていただくスタートアップさながらの経験をさせていただきました。
その後、ライフスタイル領域に異動し半年ほどホットペッパービューティーの法人営業に従事した後、2023年より株式会社アンビエントナビに入社し、現在は営業統括として自社の営業戦略および部内のAI・DX化による業務効率化全般の業務を担っております。
私が転職してきた理由の詳細は弊社HPにまとまっているので、興味がある方はぜひご一読ください↓↓
本記事では、当社の営業組織において生成AIをどのような目的で活用し、短中期で辿り着きたいと考えている理想の営業業務効率化がもたらす業績インパクトについて私なりの考えをご紹介させていただきたいと思います。
それでは本編をどうぞ。
この時代において、生成AIをどう捉えるか?
まず大前提にすり合わせたい認識として、生成AIは1990年代のインターネットの到来に極めて酷似しているということです。1995年に米マイクロソフト社がwindows95を販売したことを皮切りに、今ではビジネスの世界になくてはならないインフラとしてインターネットが世の中に普及しました。当然、これにより製造業などの労働集約型の産業に「ITを活用した生産性の劇的な向上」が起こったわけです。
生成AIは、まさに現代のインターネットに次ぐ新たな業務生産性の革命を導くツールだと考えています。
当然弊社でもすでに生成AIを活用した様々な取り組みに着手しておりますが、特に営業においてその導入効果は絶大であることがすでに証明されていますし、むしろその点において弊社の競合優位性があるとも自負しております。
では、AP部署でどのように生成AIを活用しているかをお見せすると同時に、弊社の営業についての考え方をお伝えさせていただきます。
AIの力で次の100年を代表する企業を目指すアンビエントナビにおける営業組織の理想像とは?
生成AIを活用したDX推進事業およびvertical SaaS事業のイメージが強い弊社ではございますが、実は影に隠れて営業にもかなり力を入れております。本記事で弊社の営業戦略を全て語ることはできないので、代表である夏目のインスタnoteに譲りますが、ここでは主に営業を科学する上で避けては通れない「営業パーソン一人あたりの生産性」について語らせてください。
また、弊社では言葉に宿る力を非常に重要視しているため、一般的な営業パーソンのことを「AP = アカウントプランナー」と呼んでおります。よって、この先は便宜上APと称させてもらえますと幸いです。
AP一人あたりの生産性を考える上で様々な切り口があるかと思いますが、便宜的に営業を分解すると「商談数 × 商談契約率 = 契約数」で表すことができます。つまり、営業組織においてやるべきことはたった2つで、①一人当たり商談数を増やすこと、②商談契約率を向上させること、このどちらの中央値も永続的に引き上げることです。
弊社では、①②の向上を追求することでAP一人当たりの生産性向上を図っているのですが、ここで生成AIによるDX化が大きく寄与してきます。
①と②それぞれに分けて解説させていただきます。
①DX化によりピュアセールスタイムを増やし、一人あたり商談数を1.4倍に増やす
生成AIを活用してAP一人当たりの商談数を増やそうと考えた際に、まずやるべきことは営業業務の棚卸しと自動化(DX化)によって何を削減し、ピュアセールスタイムを増やすべきかトップダウンに考えることが大切です。
どういうことかと言いますと、生成AI導入によって最も工数を削減し、できるだけ多くの時間を捻出できるものからDX化を検討し、その業務を完全にDX置換できるまで根気強くPDCAを回し続けることが大切だということです。
例えば、弊社でいいますと新規リードを獲得するためのインスタグラムのDM送付作業が該当すると思います。
仮に、AP一人が1ヶ月当たり35商談を獲得すると考えた際、DM返信率を5%と仮定すると、35商談 ➗返信率5% = 700DM送付が必要となります。大体20DMを送付するのに30分かかると想定すると、 30分(20DM) × 35セット = 17.5時間もかかる計算になります。弊社の1アポイントが1時間ですので、このDM送付時間をなくすことで業務時間を新たに増やすことなく、AP一人当たり+17商談も増やすことができます。
AP組織が20名いたとすると、17商談 × 20名 = 340商談も増える計算です。
すなわち、
当初 35商談/人 × 20名 = 700商談
DX化 52商談/人 × 20名 = 1,040商談
と、営業におけるKSFである商談数を人員増強や業務時間の延長をすることなく、140%UPさせることが可能となります。営業経験者あるいは営業組織を牽引する方であればこのインパクトの大きさがお分かりになるのではないでしょうか。これが弊社がDX化を強く推進している理由であり、この時代において営業生産性を高める上で最優先に自動化・効率化していきたい業務でもあります。
生成AIを活用したDX化により、本来APとして契約を上げるというパフォーマンスに直結する業務に費やす時間(ピュアセールスタイム)を創出することができますし、ここを諦めずに追求し続けることができる企業は強いと思います。何より高い時価総額を目指す上で、弊社の事業戦略上、こうした営業利益率の最大化をどこまで求めていけるかといった自分たちとの戦いだとも思っています。
②膨大な情報を生成AIに処理させ、トップセールスの商談を誰もが高いレベルで再現
企業の営業生産性を左右するもう一つの要素として、商談契約率が挙げられるのは上述した通りです。
では、多くの会社で攻略難易度が高いとされる属人性の高い商談契約率をどのように向上させていくかと言いますと、答えはzoom録画(動画)とChatGPTを活用することによる質の高い事前準備を行えるようにすることです。
ここでは割愛させていただきますが、弊社では全ての商談をzoomで行っており、その全商談をお客様の許可をもらった上で録画しております。それらの録画と「APドリブン」と呼ばれるAP部署秘伝のトータル百数十ページにおよぶマニュアルで商談スキルを向上させていると同時に、ChatGPTをはじめとする生成AIツールを複数活用して商談の事前準備を行っています。
それにより、今まではAP自ら全手動でお客様の公開情報をリサーチ・分析し、先方の抱え得る課題を仮説立てた上で商談のシナリオまで描いていたところから、それらの工程をDX化することでものの数分で事前準備が完了するようになりました。
1商談につき大抵30分ほどかかる事前準備が効率化されるインパクトは、人的リソースを増やさずに商談数を最大化し続けるミッションを担うAP組織において非常に大きなものがあると実感しています。
もちろん、まだまだチューニングは必要のため完成度でいくと6割ほどではございますが、それでも顧客折衝に当たらない時間を大幅に削減できる点において世の中の営業組織であれば取り組まないという選択肢はないと思います。
そして若干余談が過ぎてしまいましたが、工数削減による時間捻出と同じかそれ以上に価値があることとして、トップセールスの事前準備を可能な限り再現し、商談契約率を数%以上改善できる点が、まさに今組織として注目している点になります。これまではメンバーによって属人化していた事前準備の質が、トップセールスの思考をプロンプトに落とし込むことで、一定のレベル感で質が均一化されていく未来が見えつつあります!
それもそのはずで、今まではどれだけ社内でナレッジシェアをしていたとしても、一つの具体例からいかに目的を抽出して転用できるかには個人差が生まれていました。情報の網羅性以上に、センターピンを捉える力の差によって事前準備の質に差が生じるのであれば、トッププレイヤーが見逃さないセンターピンを極力押さえるための思考フローをプロンプトに反映させ、どんなにAP歴が浅い新人であっても精度の高い仮説を伴った状態で商談に臨めるようになります!
ここは多分に磨き込みの余地がある領域でもあり、私はもちろんのことセールスイネーブルメントチームが主体となって進めているのが現状です。
おわりに
本日お伝えしたことは、アンビエントナビではまだまだ実現できていないことも多く、完成度でいくと道半ばで理想からは遠い部分もございます。現場起点で生成AIを用いた営業業務のDX化は着実に進んでいるものの、まだ理想の30%にも達していません。
ただ、それくらい生成AIの可能性を信じておりますし、実際に革新的な業務効率化も生まれ始めております。
世の中の変わり目となる今この瞬間に、ここで書いた内容をこれから一緒に実現していきたい、営業を科学し、理想の営業組織を作る側に回りたい、こういった環境の中で思う存分に営業としてパフォーマンスを発揮したいという仲間を弊社では絶賛募集中です。