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崩れていく常識と純粋な気持ち


「ガーディアン?」

「守護石だよ 隣にいてわかるくらいアンバーは開かれていたよ
守られているような安心感と自分を偽らなくていいって思えるような感覚
今のアンバーくらいはっきり感じることはなかなかない
と言うかそれくらいぴったりくる石に出会えるのは本当に珍しい」

「パワー、、ストーン?」

「そう言うレベルじゃないよ」

「そんなに特別な石なの? ムーンストーンって」

「というよりこの石、このムーンストーンとアンバーの結びつきが特別なんだ
この石がまたアンバーを選んだんだ」


また?


「偶然ここに来てこれを偶然見つけたんじゃなくて
石はここにくるために祖母に見つけさせ
アンバーが初めてここに訪れたあの日に合わせて仕上げさせられ
アンバーはここにくるように導かれた

僕がアンバーに会ったのは新月の次の日だったよね
その一つ前の満月に浄化されるところから作り始められ
そしてクレンジングされながら新月になる直前に完成したんだ」

「あの、、わたし、、何を言ってるのかわからない」

「今はまだわからなくていいんだ
この石との結びつきが大切だってことだけ忘れないでいて
きっと以前この石とアンバーは関係していたと思う」

「わたしこういうアクセサリーつけたことないよ」

「アンバーが生まれてくる前の話だよ」


わたしはもう何がなんだか、、わけがわからなくなってきた
でもこころのどこかで納得してる部分があった


きっと以前この石とアンバーは関係していたと思う


特にこの言葉には無条件で納得していた

そんな記憶なんかない
アクセサリーなんて数数えるほどしか持ってなかったから
見れば同じようなものかなんてわかる

でもさっき石をすくいあげたとき
なぜか懐かしさに似たような感覚も少し感じたことは確かだった
ずっと忘れていた何かを思い出した時に感じるあの懐かしい感じ

さっきの言葉を聞いたとき
このことだったんだ、ってすごくしっくりきた


もういいや
考えるのはやめよう


「きっと後になってこの石との関係がわかると思うよ ふさわしい時に」

この動きだした新しい流れにのるしかない
わたしはもう本気で覚悟を決めるしかないんだ

でも今まで経験したことがない予測不可能な流れにのるなんて
恐怖でしかない
知識も技術もないまま1人でラフティングををやるみたいだ

そう思った瞬間
アレックスはわたしの手からネックレスをとり
そのままわたしの首につけてくれた


「これはもうキミのでしかあり得ない
このムーンストーンとできる限り一緒にいて
キミを守ってくれるはずだから」

「え?」

「これは祖母と僕からのギフトだよ」

「でもおばあさまとはまだ会ったこともないのに」

「いいんだ 祖母もきっとそう言う」

「でも、、」

「アンバー、、受け取って
今それを受け取っていいんだ」

「わかった、、、
ありがとう
この好意に対して
わたしはどうすればいいの?」

「これは取り引きじゃないから アンバー
そんなふうな気持ちにならないで
そんなふうに思わないで
キミにはこの石と絆がある
受け取る価値と資格があるんだよ
一緒にいるべきだから
ただ受け取って喜びを感じるだけでいいんだ」


わたしは
してもらったことには
何かお返しをしないといけないって
思って生きてきた

アレックスはいま
そうじゃないと言う
なぜここまでしてくれるのだろう

これもわたしが変わっていく過程で覚えたり慣れていかなくてはいけないことなのかな

わたしの中の常識が崩れていく
してもらったことを
純粋にただ受け取って喜ぶ


あ!

「アレックス!」

「なあに」

「ありがとう」

「僕こそありがとう」


してもらったことに
純粋に単純に喜ぶ
それは子供のころと同じ感覚なのかも

子供の頃って
してもらったことに対して
お礼は言うけど
ただ受け取るだけ
する方も子供に対して見返りを求めない

大きくなって
いろんなことを知って
お返ししなきゃとかいろいろ考えだすと
純粋に受け取ることができなくなる

純粋に受け取ることは
純粋に受け入れること

物も
知識も
愛も? 愛情も?

余計な、、
染み付いてしまった常識を崩していかないと
無くしていかないと
すべてを純粋に受け取ったり受け入れたりできなくなるの?

何かが少しわかってきたような気がする
確かじゃないけど
変わっていくことって
成長することに似てるのかな
子供が大人になっていくように

だから変わるのには
子供にならないといけない?

いや いけない、、、、じゃないんだ、と思う
でもぴったりな言葉が思い浮かばない

その代わりにもう一度アレックスに言った
今度はわたしが今出来る限りの微笑みをたたえながら


「アレックス、、、、ありがとう」

「その笑顔 みたかった」



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