VRCのワールド「誤写/誤配」を作りました。
World:【写真/絵画展】誤写/誤配 [Exhibition] Accidentally Shot / Unintensionally Delivery
VRCの写真/絵画展のワールド「誤写/誤配」を作りました。
箇条書きではありますが、意図とか感想とかを書き連ねていきます。
展示について
私がVRChatで不意にシャッターを切り撮れてしまった写真と、その写真を模写した絵を展示しています。
タイトル
「誤配」は東浩紀氏の思想のキーワードとなる概念から引用しました。
今気づいたけど、伝わる人には伝わるだろうけど、わからん人にはとことんわからんだろうな、と。
タイトルつけ間違えたかもしれない。それもまた誤配ってやつか。
私の解釈として、「誤配」は、意図しない出会いとか、コミュニケーションの理解のずれのことを指します。
世界をうっかり切り取ってしまうのも誤配、
その写真が絵になるのも誤配、
その写真と絵を見て、他の人が何か思うことも誤配。
きれいなもの、コスパ・タイパが良しとされがちな今日このごろにおいて、
誤りや偶然を愛でる「誤配」という考え方は大切だなーと思ってます。
建物
建物はフランク・ロイド・ライトのタリアセン・ウェストを参考にしています。
入口のガラスの模様は自由学園明日館から。
照明は毛綱毅曠の反住器から引用しています。
タリアセン・ウェストは、直方体が角度を変え素材を変え重なる。
反住器は立方体が入れ子になって内外を生み出す。
2つの似た立体の関係性で成り立っているようで、どちらも面白い建築だと思います。
私が好きなので引用させてもらいました。
建物の周りの水は、楽に作れる背景として選んだだけです。
正直なところ、小さく作りすぎたなというのが反省です。天井も低いし。
でもまあ、ホワイトキューブって面白くないじゃないですか。
画題
最初はきれいなワールドの絵を模写しようと思ったのですが、
「きれい~」で終わってしまうし、
ワールドより優れた絵が描けるわけでもないし。
それなら思想が滲み出て、
コンセプトとして面白いものをやってみたいなと思い、
偶発的に撮ってしまった写真を画題としました。
なんとかアートとしての文脈には載せられたのではないでしょうか。
あと、正直、写真の歩留まりが良すぎて、
何年もVRChatをやっているのに、画題にできる写真がなくて焦りました。
VRChatの写真
仮想世界の写真の特異な点は、そこにシャッタースピードも被写界深度も、あえて加えない限りは存在しないということでしょう。VRCのデフォルトのカメラはシャッタースピードが無限分の1、被写界深度も極めて深い(F値が大きい)です。もちろんデフォルトの機能や外部アセットを使用することで、擬似的にボケを作ったり、シャッタースピードを遅くすることはできますが。
極めて早いシャッタースピードと深い被写界深度のお陰で、適当に撮った写真も、とりあえず「見れる」写真になります。現実ではブレたりピンボケしたり白飛び黒飛びするはずのミステイクが、VRの世界ではちゃんとした写真になります。それを活かしたのがこの展示になります。
ぐち
ワールドにも書いた通り、
ただきれいなもの、意味深だけど意味が伝わらないものは作ってもしょうがないなと。
いろいろな創作においても、きれいなもの、技巧的なもの、雰囲気のあるものがもてはやされて、
思想とかコンセプトとかがちゃんと伝わるものって、案外少ないです。
絵でも音楽でも言葉でも、
人間のあいだでやりとりできる情報には限りがあるのだから、
伝えたいことはマルチモーダルに、手を尽くして伝えるべきだと思うのです。
それでも自分の言いたいことの100分の1でも伝われば大成功なんだと。
それに、少なくとも作者はここまで考えて作りましたよ、というのを示すことで、
それが考察の補助線になったり、
あるいは批評に耐えうるものを証明することになると思うのですよね。
(もちろん作者の意図とは違う読解も大歓迎です。それが「誤配」なのですから)
なので、意味深なものにはちゃんと解説をつけてくれ!
でないと「意味深だけどよくわからん」でスルーされてしまうぞ!
というのが私の意見だったりします。
もちろん人には人のスタンスがあると思いますが。
人類もっと思想強く創作してくれ!
そしてそれをいろんなインタフェースで全力で伝えてくれ!
(といいつつも、自分も言葉少なめになってる節はありますね・・・)
今後
それなりに反響があれば、第二回もやりたいですね。
できればみなさんから「うっかり撮った写真」を募集してみたいなあと。
集まらなかったら悲しいですが。
とにかく、小難しいことは気にせずに、
何かひとつでもひっかかるものを生み出せたなら成功ですね。
何かしらの誤配を生み出せたのなら幸いです。
ではでは。