ともだちに会えたよ。『80年生まれ、佐藤愛 ―女の人生、ある発達障害者の場合(宇樹義子著)』
ふと自分の内面に意識を向けると、そこにはいつも子どもの姿をした自分がいる。膝を抱えて真っ暗闇の中に座る、おそらくは小学校高学年くらいの自分の姿がイメージできる。そこは心の最深部のような場所で、他人は絶対に入ってくることができない。加害からは身を守れるが、救ってくれるものはなにもない。虚ろな場所だ。
そこに外側からはじめてやってきたのが、「佐藤愛」だった。
『80年生まれ、佐藤愛 ―女の人生、ある発達障害者の場合』は主人公である「佐藤愛」の半生を通して、その裏側に横たわるジ