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蛙鳴未明
2024年10月2日 01:03
巷は大渦の話題で持ちきりである。突如印度洋に現れたそれは、島を七つも呑み込んでなお、拡大を続けている。未だ明らかでないその正体を、私は知っているように思う。あれはきっと彼だ。印度へ渡った、かつての友人、そのなれの果てだ。※※※ 彼は大学の同輩であった。初めは入学式の席が隣だった、というそれだけの関係だったが、何かの拍子で同郷なことが発覚し、以来友人となった。時に飲み、時に遊びながら互いに
2024年9月27日 23:10
暗がりから現れたそれを見て、私は息をのんだ。確かに生首だった。車輪付きの台座の上でごとごとと揺れ、陽気な歌を口ずさんでいた。生ける生首の噂は本当だったか――私に笑いかける彼の眉は、少し歪んでいた。「どうした、そんなに驚くこともないだろう。大英博物館には世界の全てが折り畳まれているんだから」 私は気の抜けたような返事しかできなかった。眩暈がしていた。彼は快活に笑い、肩でも叩くような調子で聞