シェア
蛙鳴未明
2024年9月27日 23:10
暗がりから現れたそれを見て、私は息をのんだ。確かに生首だった。車輪付きの台座の上でごとごとと揺れ、陽気な歌を口ずさんでいた。生ける生首の噂は本当だったか――私に笑いかける彼の眉は、少し歪んでいた。「どうした、そんなに驚くこともないだろう。大英博物館には世界の全てが折り畳まれているんだから」 私は気の抜けたような返事しかできなかった。眩暈がしていた。彼は快活に笑い、肩でも叩くような調子で聞