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鶏を飼ってみた。彼らは星の王子さまが愛した一輪のバラ。畜産について。
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うちには鶏が3羽います。ペットかつ採卵用にと、去年から飼い始めました。
鶏との暮らしが始まって、もうすぐ一年が経ちます。
彼らを身近に感じ、観察し、ずっと一緒に暮らしていると…
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ふと、人間の少年少女のように見えてくる瞬間があります。
そう、彼らから学ぶことでいちばん大きいのは、彼らにはとても「個性」と「感情」があるということ。今日はそんな我が家の鶏ちゃんたちのことをお話しします。
うちの3羽の鶏をご紹介
我が家にいる鶏は、マルちゃんと二ゴーちゃん、そしてオーワちゃんです。
マルちゃんと二ゴーちゃんは白い烏骨鶏で、私が自宅で卵から孵しました。
オーワちゃんは茶色の鶏で、後からお友達になった子です。
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キュートなお姫さま、マルちゃん
マルちゃんはもうすぐ1歳になる女の子の烏骨鶏です。頭の毛が丸いのが特徴!
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体が小さく、小心者でいつも他の鶏の後をついて回るマルちゃん。しかしよくよく観察すると、とってもわがままで“女王様気質”なのが分かります。
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とにもかくにも「愛されてるオーラ」がすごい。
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頭も体も丸っこいマルちゃん。歩くときにおしりがぷりぷりと揺れる、この様子がほんとうにかわいいです。
優しいハンサムボーイ、二ゴーちゃん
二ゴーちゃんは、マルちゃんと一緒に生まれた、同じく1歳弱の男の子です。5羽の兄弟のうち2番目に生まれたので二ゴー(2号)です。
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二ゴーちゃんはとっても紳士的で心優しい性格の男の子。女の子たちにおやつやエサを譲ってあげているのをよく見ます。遊んでいる最中でもいつも女の子たちの行動に気を配り、見守っています。
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女の子たちを守ることに余念がない二ゴーちゃん。
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ちょっとでも女の子たちにちょっかい出す人間があろうものなら、とびきり美しいキックを決めます。結構迫力ある。
美しいお姉さん、オーワちゃん
オーワちゃんはちょっぴり年上のお姉さん。
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知り合いの農家さんのおうちで飼われていたのですが、他の鶏たちにいじめられてしまっていたので、私の家で引き取ることにしました。元いた場所が「大輪さん」という苗字のお宅だったので、名前はそれをお借りしてオーワちゃんです。
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うちに来た当時、オーワちゃんはほかの2羽にビビりまくっていました。しょうがない、生まれてこの方ずっと仲間たちに虐められてきた生涯だったのです。
しかし人にはよく慣れている様子で、自分から近寄ってきて体を撫でさせてくれます。かわいい。
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鶏は体を触られるのが嫌だと思っていたので、これは大きな発見でした。
↓マルちゃんの場合。
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3羽の関係性は?
一見仲良しそうなこの3羽。
いつも一緒にいて、一見仲良くやっているように見えますが、しかし彼はとっても繊細な関係性のもとに成り立っています。
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二ゴーちゃん(♂)は小さいときからマルちゃん(♀)のことが大好き。そんなマルちゃんは二ゴーちゃんの愛に満たされワガママに育ち、2人は幸せに暮らしていました。
そこに後からオーワちゃんが入ってきたものだから、さあ大変!完全な調和のもとにあった関係性は、少し形を変えることとなったのです。
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二ゴーちゃんはまるちゃんを愛しているのですが、だからと言ってオーワちゃんを邪険に扱うことはありません。紳士らしくちゃんと「女の子として」扱うのです。
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こうして今までひたすら「マルちゃんラブ!!」で生きてきた二ゴーちゃんは、オーワちゃんの登場に、改めて自分は「オス」という存在だと気付くことになるのです。
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一方マルちゃんはどんな心情かというと、特にやきもちを焼いたりはしません(笑)
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しかし女×女というのにも相性があるみたいで、マルちゃん的にオーワちゃんのことは、「そんなに好きではない」みたいです。仲良く並んで寝ていたりもしますが、しかし、一緒にエサを食べていると…
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そんなときオーワちゃんはというと、さすが年上なだけあって、客観性を持って冷静に対処している様子。
ニゴーちゃんに対しては常に一定の尊敬の念を抱いています。そしてそのニゴーちゃんがマルちゃんのことを大切にしているのも知っているので、マルちゃんに対してもちゃんと一歩引いた姿勢でいます。
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そしてマルちゃんはマルちゃんで、お姉さんな態度を取ってくれるオーワちゃんの存在に甘えて安心しています。
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そう、3羽はそんな各々の気遣いの上で初めて成り立つ、極めて繊細な関係性のもとに生きているんです。
こうして見ると、一番穏やかに見える二ゴーちゃんの存在が、バランスをとっているようにも見えます。控えめな性格だけれど、ほんとは一番周りに気を配っているのも二ゴーちゃん。
3羽はみな感情豊かで色々考えている様子がありますが、特にニゴーちゃんは思慮深い。私たち人間の行動もよく見ていて、ふとした時に、窓の外から家の中を覗いていたりなんかします。
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彼らがなにを考えているのか…計り知れないところがあります。
もしかしたら、私たちの想像も及ばない、とても繊細なところで彼らは生きているのかもしれません…。
これらはぜんぶ、この鶏たちのほんとうのお話です。
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鶏との暮らしの中で思うこと。この想いは星の王子さまにとっての「バラ」?
鶏との生活を始めて一番思うことは、何度でもいうけど、彼らにはとても「心」と「個性」があるということ。
私は今まで、このことを知らないでいました。世界に何億羽といる鶏の中の、たった3羽から学べることは、そういうことでした。
今まで鶏という動物に対して抱いていたのとは全く違った感情です。
名著『星の王子さま』の中に、一輪のバラを愛した王子さまの描写があるのをご存知ですか?
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王子さまは彼の星で、たった一輪の小さなバラをとても愛していました。しかし彼は地球に来て、彼のバラと同じようなバラがたくさん咲いているのを見てしまいます。
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ぼくは、この世に、たった一つという、めずらしい花を持ってるつもりだった。ところが、じつは、あたりまえのバラの花を、一つ持ってるきりだった。
ショックを受けてしまった王子さま。友だちのキツネは、王子さまはそのバラのために時間を注ぎ愛したのだから、そのバラは王子さまにとってはかけがえがなく、ほかのバラとは確かに違うのだと諭します。
きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ。
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きみたちのためには死ねない。もちろんぼくのバラだって、通りすがりの人が見ればきみたちと同じだと思うだろう。でも、あのバラだけ、彼女だけが、きみたち全部よりもたいせつだ。
私の3羽の鶏に抱く感情は、恐らくこれに似ています。王子さまが、数あるバラのうち、たった一輪のそのバラを愛した気持ちと。
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私の鶏は、数いる他の鶏と何が違う?
私は昔、あるドキュメンタリー映画で養鶏場の飼育・屠殺現場を映したものを見たことがあります。
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誰もが毎日のように食べている肉や野菜が食卓に並ぶまでの過程を追い、世界中の映画祭で大反響を呼んだドキュメンタリー。
ベルトコンベヤーに注ぎ込まれるヒヨコの群れ、自動車工場のように無駄なく解体される牛など、大規模な機械化により生産・管理された現場の実態が映し出される。ーシネマトゥデイ(外部リンク)
映像の中で鶏たちは、日の当たらない狭い場所でひしめき合って育てられ、まるで「モノ」のように扱われてぶら下げられ、首を切られて殺されていました。
私はそれを見て、「かわいそう」と思いました。傷付きました。もう見たくないです。
誰だってあれを見たらそう思うでしょう。「かわいそう」と。あるいは「でも、しょうがない」と。
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ーいのちの食べかた | 映画の動画・DVD-TSUTAYAより
私はその映画を見てからある程度お肉を食べるのを控えるようになりました。しかしながら、「しょうがないことだ」という気持ちは、私の心の底にも確かにありました。
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ーいのちの食べかた | 映画の動画・DVD-TSUTAYAより
しかし今となって、それは「しょうがない」では済まされないことかもしれないと感じつつあります。
つまり、私と一緒に暮している3羽の鶏と全く同じであるところの一つ一つの命が、画一化され、受け取れるはずの命の喜びを感じることなく死を迎えているという現実は、本当は「起こるべきでない」ことなのだ、
そう強く思うようになったんです。
私の愛す3羽になり得たかもしれない同じ命である他の鶏を、「しょうがない」という言葉で粗末にすることはできないと、強く感じます。
食肉産業をめぐる問題
では肉を食べなければいいかという問題だけでなく、養鶏のみならず、採卵業も日本ではとても工業的に行われています。スーパーに並ぶ卵のほとんどは、人工的に朝夜の光を再現させられた狭いケージで飼育され生産された卵です。そのストレスを軽減させるためにホルモン剤が与えられています。
また不要であるオスのヒヨコは、生まれて間もなくして殺処分されてしまいます。シュレッダーや圧死など。このように問題がかなりあります(日本の採卵業の92%はEUでは違法と言われています)。
これは大きなシステムの問題だからしょうがない?文化の一つだから否定できない?確かに100%の解決は難しいのかもしれません。しかし私は、これは本当はシンプルなことなのだと思います。
「起こるべきでないこと」を見過ごさないこと、許容しないこと。想像力を働かせて、意思表示すること。それは環境問題であれ人権問題であれ、あらゆる社会の問題についてがそうだと思います。
で、その起こるべきでないことに「加担しない方法」というのは、考えてるみれば実はたくさんあるような気がします。
たとえばフランスでは最近、生産性が落ちて処分されてしまう鶏を、希望する一般家庭に保護してもらってペットとして飼ってもらうことができる法律ができたらしいです。ケージ飼育というやり方に反対ならば、鶏を自宅で飼うとか、市販のものでもなるべく「平飼い」の卵を買うなど、方法はあります。
とにかくまずは、みんながちょっとずつ関心を向けていく必要があると思います。「見過ごされている」あるいは「見えもしない」問題が山のようにあるのだから。
私たちの必要なのは「情報」?それとも…
そのような問題に関心を持つ上で必要なのは、もちろん情報は大切なのですが、最終的に必要なのは「想像力」や「思いやり」であると思います。
だって、すべての問題の現場を見ることはできないし、100%、360°の完璧な解決策なんてそうそうないのだから。私も養鶏の現場を直接見たわけではないので、情報や動画を見るしかありません。本当に正しい情報を選べる自信もありません。
だから私は、ここに一つの、確かな情報として伝えたいのです。
私の家にはたった3羽の鶏がいて、彼らはとても感情豊かで、そして私はそんな彼らをとても愛していることを。
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以上が私の、鶏を飼い始めて思うことです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。何か思うところがあれば、ぜひシェアしてみてください^ ^
このブログではこれからも鶏ちゃんたちのことを描いていきたいと思います。ありがとうございました!
今回ご紹介した映画はこちら
『いのちの食べかた』(2007)
※動画リンクが開きます。
★星の王子さまを題材とした映画『リトルプリンス』もおススメ!大好き。
※動画リンクが開きます
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★畜産のさらに切り込んだ話はこちらの映画が一番おススメ。多くの環境活動家・菜食家・アニマルライツ活動家の方たちが勧めています。
映画「Cowspiracy」※動画リンクが開きます。
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▼Cowspiracyとは違う映画ですが、同じく畜産業の裏側に切り込んだ映画「Dominion」は現在(2020/8/3)日本語字幕付きでYoutubeで無料で配信されています!
▼アニマルフェアについて情報を提供してくれている、こちらのブログもオススメです。
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