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出版に憧れていた人に本を出してもらうプロジェクトやってます


つい先日、こんな本がAmazon Kindleで出版されました。

これは楓ゆかりさんが、お医者様の高橋優三先生に高度経済成長時代の体験談を語っていただいた内容をまとめた本です。
「あまやどり出版」で出版までのサポートをさせていただきました。
「自分出版社協同組合」のnoteでも新刊紹介をしています。

楓さんは今まで編集者だったわけではありません。出版に憧れを持ちつつも、出版社は狭き門で、専門的な技量もないから自分には本なんて出せっこない、と諦めていらっしゃる方でした。

自費出版という手もあるにはありましたが、最初にある程度のロットで印刷しなければならず、売れるかどうかもわからない本に数十万単位の費用をかけたり、在庫を何百冊も自分で抱える必要がありました。一般の人はそこまでの勇気がなかなか出せませんよね。

しかし時代は変わりました。
2022年から日本でもAmazonで始まったKDP(Kindle Direct Publishing)というオンデマンド印刷の仕組みがそれです。

この仕組みのメリットとデメリットを簡単にお伝えすると。

KDPのメリット

・オンデマンド印刷なので在庫を抱えるリスクなし。
・同じ理由で、初期投資する印刷代が不要。(注文した人が本の代金として、Amazonに印刷代や用紙代、製本代、配送料を支払うため)
・専用フォーマットがダウンロードできるので、基本それに則って作れば出版可能。
・ペーパーバックと電子書籍をまとめて作って出版できる利便性
・販売数もKDP内で把握することができ、複数の種類の本を販売した場合でも収入をAmazonで一元化できる。だから収益管理が楽ちん。
・Amazonで売れるからたくさんの人の目に入る可能性あり(あくまで可能性ですが)

KDPのデメリット

・Amazonの取り分が発生するため、特にペーパーバックの利益は薄め。
・電子書籍の利益率はAmazonだけで販売すると高くなる(逆に言うと他の出版社でも出したい場合は利益率はそれなりに下がる)
・製作のためのヘルプがクソ。(見たらわかるけど、どこに何が書いてあるのかがラビリンスすぎて、本当に本当にわかりにくい!!)
・縦書きの本へのフォローは手厚くないので、ある程度自助努力が必要(細かい話ですが、デフォルトで目次に入るページ数は横書きになってしまうため、自力で変更したりとか。ちゃんと作りたいと思うとストレスたまる部分がちょいちょいある)

みたいな感じです。使い勝手で色々ストレスがたまるし挫折しがちなのですが、そこさえ乗り越えてしまえば、自力出版が可能だし、在庫を抱えるリスクもないし、初期投資もいらない仕組みです。初めての出版にはうってつけではないでしょうか。

本を作るサポートができる仕組みを用意したよ

KDPが日本に上陸したとき、私も何冊か本を出版したのですが、出版について門外漢の人には、やはりなかなかハードルが高そう……。そこで、2年前に「自分出版社協同組合」という相互扶助グループを作りました。

noteは告知用サイトで、メインはDiscordです。画面を見せますとこんな感じです。

KDPのヘルプで私がつまづいたポイントを中心に流れを解説

このグループには現在約40名のメンバーが集まっていますが、KDPで本を作る時に必要な情報を蓄積し続けています。メンバーから出てきた質問にわかっているメンバーが回答しつつ、マニュアルも厚くしていくって感じですね。
最近ではここを見れば、初めての出版でも一人でスムーズに進められる方も出てきました。いやー、嬉しい限りです。

楓さんの場合

で、楓さんの場合は、作りたい本があるのですが、そちらは企画段階で少々足踏みをしていました。でも本を作りたい!というご本人の気持ちが強かったので、私が動けないでいた本作りをお願いすることになりました。

高度経済成長時代は、生活の「質」が180度ひっくり返った時代だった。

少々話がそれますが、私は「高度経済成長グループ&ききみみずきんの会」という2つのグループの運営もしています。これらは両方とも狙いは一緒で、80代前後から上の人生の先輩たちにお話しを聞いて、それを少しでも世の中に残していこうという活動です。
高度経済成長グループは高度経済成長時代の前後に割とフォーカスしていて、ききみみずきんの会は地方に残る伝統や生活についてに注目しています。

今回の本は、高度経済成長グループで発刊したのですが、なぜ今さら高度経済成長?と思う方もいると思うので、説明しておきます。
昭和30年代の高度経済成長時代は、大きくとらえると、日本人の生活が「質」的に大きく変化した時代です。言ってみたら、iPhone並みの発明が生活のいたるところでばかすか生まれた時代、と考えたらいいでしょうか。
今回取材した高橋先生は第2次世界大戦後すぐの生まれです。その先生が「奈良時代から現代までを生きたような」と言ってしまうほどの変化が、戦後日本には起きていました。(特に地方は顕著)

私たちは今、AI革命と言うべき時代の真っただ中にいます。おそらく今後10年のうちに、想像の斜め上を行く発明が続々起こって、今のわたしたちの生活が180度転回するかのような事態になると思われます。
これって昭和30年代の高度経済成長と同じように、「質」の変化が生活や仕事のあらゆる現場で同時多発的に起きるということです。
これから生まれる世代やせいぜい今の10歳以下までは、この波に何の苦も無く乗っていくでしょうが、それより上の世代はどうでしょう。きっとうろうろおろおろ、未知との遭遇におびえながら頑なになったりすることもあるでしょうね。
でもせっかくだから楽しくいきたいじゃないですか。変化が大きかった時代の先輩たちがどうやって柔軟に生きて来たのかを知ることができたら、それが道しるべになる可能性があるんじゃないかと思ったんです。

そして本づくりが始まった!

というわけで、80代前後の方を細々探してはお話を聞いて本にする活動をやり始めたのですが、実際にはなかなか進められませんでした(他にリソースを取られてただけですね汗)。
そこで楓さんに高橋先生とZoomでお話するところから加わってもらい、録画した内容をAIで起こして原稿整理しWordで本文にしていただきました。
同時に表紙はCanvaで制作。基本FMTはKDPで出力できるので、そのサイズに合わせてデザインしてもらいました。
その間に何度かメンバー有志で校正をかけ、高橋先生にチェックしていただき、無事完成! Amazonでの発売に至ったわけです。

楓さんから感想いただきました!

「KDPを使って、本を始めて出版してみて」

私は、自分出版社協同組合に参加していた当初、参加していたものの自分で本を作るのは無理だろうな、KDPの仕組みがあるといっても読み込んで理解していくのが苦手だしなと、足踏み…というか諦めていました。自分なりにある企画を考えてみたものの、編集者としての経験はゼロ。全幅の信頼を寄せる編集者である友人にも色々話を聞いたり、企画の立て方などを教えてもらったりしていましたが、結局、頓挫してしまいました。
そんなある日、滝さんからDiscord上で「KDPを使って本を作りたい人、1からサポートするのでやりたい人いませんか?」的なメッセージがきて、「こ、これは!」と思い、おずおずと手を挙げ、そこから私の本作りがスタートしました。
正直、本当にできるのか、形にできるのか自信はありませんでした。
ただ、今まで色々なことを途中で諦めてきた私は、何か1つでもまずは形にできることをしてみたいと思いました。
そして前職では、編集者やライターの方々と関わる機会が多かったので、自分で1度本を作ってみることで彼ら彼女らの仕事をこれまでよりも、少しでも理解することができれば、より役に立てることができるのでは、とも思っていました。
また、今は出版業界(だけではないかと思いますが)の在り方も流通の仕方もどんどん変化している時代なのだろうと思います。
それは文学フリマへのプロアマ問わず出店参加者側の幅広い層、そして一般来場者の反響の大きさを見ても一目瞭然のように感じました。毎年開催されている本を作り届ける出版社(人)側と、読む人が一堂に会するBOOK MARKETという場の盛況ぶりを見ても同じように感じました。
そして個人でも本を出版してみたい人は、本当はもっとたくさんいるのだろうなと、これまで以上に思いました。
だからこそ、その空気を肌で感じていた私は、自費出版ではまだまだハードルが高くてもAmazonで始まったKDPというオンデマンド印刷の仕組みを使えば、個人でも本を出版してみたい人にとっては朗報で、ということは、前職の会社に対してもきっとこれから新しい視点で役に立てるチャンスがあるだろう、そのチャンスを模索したいと思いました。それには、まずは私がこの仕組みを理解して、自分で本を1冊作ってみないとわからない、そして作ることができれば色々なコミュニケーションの幅も広がるだろうと思いました。
途中、私の想像を遥かに超えたトラブルが予想外のところで起きましたが(笑)。それはそれとして、滝さんの手厚いサポートのおかげで、本当にようやく1冊作り上げることができました。
決して私1人では本を作ることができなかったのは明白で、何とか完成できたのは、滝さんをはじめ高度経済成長時代の体験談を語ってくださり、本という形にする過程で色々なことをご教示くださいましたお医者様の高橋優三先生、自分出版社共同組合の皆さんのサポートや温かい励ましのおかけだと思っています。
 
これを機に、次はまだ未定ですが、お話を伺ってみたい方にお会いしてインタビューをして、1冊の本という形にできるといいな、紀行文のような形で本を作ることを続けていけるといいなと思っています。
最後に、このような機会を作っていただきました高橋先生、滝さん、自分出版社共同組合の皆様、そして、お読みいただきました皆様に心から感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

楓ゆかり

自分が読みたい本を作って世界とつながろう

こうして高度経済成長グループの第1弾の本がついに発売されました! ここからまた少しずつ進めていきたいと思っていますが、活動をしていてわかったことがあります。
それは、自分が読みたい本を作りたくて動き回っていると、同じようなことを考えている人たちと知り合えて世界が広がり、自分がいられる場所が増えていく、ということです。

これは受け身で本を読んでいるだけでは決して得られない実感でした。SNSでも同じですけど、自分から発信することで目の前に道が開けていくのです。
そんな出会いや感動を知ってみたかったら、ぜひともお手軽なKDPを活用して自分出版してみてほしいです。ついでに文学フリマにまずはお客さんとして遊びに行ってみると、今の世の中、どれだけたくさんの人たちが自分が作りたい・読みたい本を出版しているかも実感できると思いますよ!
(あまやどり出版も出店しまーす)

ちなみに「自分出版社協同組合」に参加したいよ、という方がいたら、あまやどり出版のXアカウントまでDMお送りください。
@Amydr_Publish です。

ちょっと長くなってしまいましたが、本を出版することはもはやたいして難しいことではなくなりました。興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。それがきっと次のあなたを生み出すはずです。

そして高度経済成長時代を肌で実感してみたいあなたには、この本がおススメです。
出版が初めてでもこれだけの本が作れるのか!ということもわかると思うので、ぜひ買ってもらえると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします!


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