『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第三十章
「うわあ! かっこいいですね!」
国鉄原町田駅の線路沿いに止められていた太一さんのバイクは「ホンダエルシノアMT125」と言う。シルバーのタンクの上に太い青線が引かれ、タンクの前についている2つの丸いメーターも同じ色でデコレーションされたすっきりとしたデザインのバイクだ。
太一さんは右足でエルシノアのキックペダルを蹴りこみ、右手のハンドルをひねってエンジンの回転数を上げた。ブルンブルルルンというむき出しのエンジン音が辺りに轟く。
オレはバイクのエンジン音を間近で聞いた