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くれないとうつろい

くれないとは、深い紅色を表す言葉です。その鮮やかな色彩は、秋の紅葉や夕焼けの空を思い起こさせます。古くから日本の美意識に深く根付いており、人々の心を惹きつけてやみません。

うつろいとは、物事が移り変わっていく様子を意味します。季節のうつろい、人の心のうつろい、時間の流れとともに変化していくすべてのものを指します。目の前の景色が刻一刻と変わっていくように、私たちの生活もまた日々変化しています。

ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

私の大好きな漫画のタイトルでもある、在原業平のこの和歌は、竜田川の水が紅葉で真紅に染まる様子を驚きとともに詠んだものです。神々の時代でさえ聞いたことがないほどの美しさだと、自然の壮大さに感嘆しています。

この和歌から感じるのは、自然の持つ力と、そのうつろいの美しさです。紅葉が川を染める瞬間は一瞬であり、またすぐに過ぎ去ってしまいます。しかし、その一瞬の輝きが人の心に深く刻まれるのです。

秋は、くれない色が最も映える季節。そして、うつろいを強く感じる季節でもあります。日に日に深まる秋の気配に、少しの寂しさと新たな始まりへの期待を抱きます。

紅葉の季節は短く、くれない色の景色もやがて冬の訪れとともに姿を消しますが、今年の秋を感じるよい季節になりましたね。


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