そぎとしずか
そぎとは、余分なものを削ぎ落とすこと。無駄をなくし、本質を見極めるための大切な行為です。
最近、自分の生活を見直す機会がありました。部屋を見渡すと、使わない物や同じ色のシャツ、たくさんの靴下、ハンカチなど、長い間使っていないもので溢れていることに気づきました。思い切ってそれらを整理し、断つことに決めました。クローゼットの中の着なくなった服や、棚に積まれた読み終わった本たち。思い出になるものは残して、長い間使っていないものを捨てることにしました。
すると、不思議なことに心が軽くなっていくのを感じました。物を減らすことで、心の中の雑念も一緒に削ぎ落とされていくようでした。まさに「そぎ」の効果です。
そして、しずかとは、静けさや落ち着きを意味します。余計なものを断つことで生まれた空間には、心地よい静寂が広がります。シンプルになった部屋で過ごす時間は、心まで整えてくれるようです。
江戸時代の俳人、松尾芭蕉は「不易流行」という言葉を残しました。変わらない本質(不易)と、時代とともに移り変わるもの(流行)を見極める大切さを説いています。私たちもまた、時代の流れに流されるのではなく、本当に大切なものを見つめ直す必要があるのかもしれません。
日常生活をシンプルにすることで、見えてくるものがあります。時間の余裕、心の余白、人とのつながり。物に囲まれて見失っていた大切なものたちが、静かな空間の中で輝きを取り戻します。
「断つ」という行為は、何かをあきらめることではなく、新たな始まりへの一歩です。不要なものを手放すことで、自分にとって本当に必要なものが明確になります。
これからも「そぎとしずか」を心がけて、シンプルで豊かな暮らしを続けていきたいと思います。