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『あるじなしとて』(PHP研究所)が第12回日本歴史時代作家協会賞「新人賞」候補にノミネートされました

気がつけば夏至もすぎて、ところによっては梅雨も明けつつある昨今、いかがお過ごしでしょうか。
拙作『あるじなしとて』(PHP研究所)が世に出てから早一年。いろいろ忙しくしていたら、望外のお知らせが飛び込んできました。

拙作『あるじなしとて』、日本歴史時代作家協会賞「新人賞」候補にノミネートでございます。

正直に言えば、まったく考えてもいなかったのでただびっくりしたというのが最初の感想でしたが、担当編集さんの喜びの声を聞くうちに、じわじわと気持ちが追い付いてきて。
そういうこともあるんだなぁ、と。感慨に耽ったのでありました。

未読のかた向けにご紹介しますと、本作『あるじなしとて』は”天神”菅原道真の半生を描いた歴史小説です。
その才能と悲劇的な最期から、「天才的な詩人」「悲運の学者貴族」あるいは「大怨霊」と言われた道真は、じつは大きな国政改革を成し遂げた政治家であった……というところから、彼の為政者としての歩みを描きました。

さて、本作が世に出るまでは、本当にいろんなことがありました。

書こうと決めたのは早13年前。
それまで書いていたジャンルから歴史に場を移し、ひとつ作品を仕上げ、この方向で行けると確信したとき、つぎの題材に選んだのが道真でした。
学問の神さまでもない、線の細い文人でもない、一箇の男であり骨太な政治家として、菅公を書かなければと。

執筆にあたり、自分のなかでひとつのルールを課しました。
それは、“実感できたことしか書かない”ということです。

もちろん、歴史上の偉人の実際の心は分かりません。けれど、少しでもそれを我が事として考え、自分のものにして、得心して、言葉にしていく。
分からないこと、腑に落ちないこと、表面だけで捉えたこと。自分の至らないところと向き合っていたら、第1稿完成まで6年を費やしていました。

ただ、その時点では、本作は世に出る見込みはありませんでした。
それが皆さんのお手元に届くまでに、いろんな方のご厚情がありました。

版元であるPHP研究所さんとの出会いをつないでいただいた、Histlinkさん(https://twitter.com/histlink)。
この作品に可能性を見出し、最後まで並走していただいたPHP研究所の皆さん。
こちらの悩みに辛抱強く付き合ってくれた同居人たち。

今回のノミネートで、少しは報いることができたかなと思いつつ。
これを機会に、ひとりでも多くの方に本作を手に取っていただければ、と願ってやみません。
なにとぞ、よろしくお願いいたします。

あ。ちなみに、次作は着々と準備中です。
すでに企画・プロットは通りまして方向性の確認も終え、あとは書き上げるだけ。
夏が終わるころまでには、ひと区切りつけたいなぁ…。


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