読んだ本記録 2『国ってなんだろう?』
コロナ禍で私がシンプルに感じたこと。それは
国って…?なに…?
かつてないパンデミックを経験し、如実に表れたそれぞれの国民性。今から振り返ると、クスっと笑っちゃうようなおかしなこともありましたが(和牛券とかうがい薬とかウチワとか…)、みんな、必死でした。
ただ、ひとつ、その中で私が感じたことは
「みんな、そんなに国のことを、政治家の決めたことを、そんなにも信じるの?」ということでした。
すがるように国の方針発表を待ち(しかもなんかその方針の決定までの流れがあんまり説得力がないのである)、その方針に粛々と従おうという流れに違和感を持ち、そしてコロナ対策で如実に表れたそれぞれの国民性。
今までうすぼんやりとは感じていたけれど、私のなかでむくむくと大きくなってしまったもの
国ってなによ?
そんな時に出会ったのがこの本でした。
購入したのがAmazonさんによると2021年8月5日。今日は2024年1月3日。読み始めるのに時間がかかり、読んではとめ、置き場所を忘れ、読み始めてはまた止まり、を繰り返しながら。それでも、読むことをやめられませんでした。そんなに止まるなら、やめてしまえば?というところですが、つまらなかったわけでも、違う、と思ったわけでもないのです。読むたびに考えてしまったり、あ、これ、調べておこうと思ったり。長い時間をかけて読み続けながら、この本を読んだことを覚えておきたい、そして、誰かに薦める機会があれば、その時のためにメモを残しておきたい、と思った次第です。
まずは、国の主権が国民にあるという考え方が生まれたフランス革命、そして「国民国家」が生まれ、「国民」という意識が差別を生み出し、民族主義的な「国民国家」がホロコーストをもたらします。その後のイスラエル建国までの経緯の矛盾などが、現在、今の今まで続く悲劇を生み出す流れが非常にわかりやすく解説されています。
アラブ問題は日本人にはわかりにくい、とはよく言われますが、人種主義、植民地問題、ホロコーストなどとともに丁寧に解説してくれるので、なるほどそうだったのか、と非常に説得力がありわかりやすい。この本を読んだらわからない、とか言っちゃだめ。
そして、一方で日本という国がどんな流れで生まれてきたのか、その在り方はいかなるものなのか、などを説きながら、2011年の福島の原発事故によって、如実に表れはじめてくる日本という国が抱える様々な問題。
フランス革命、イスラエルとパレスチナ、そして日本という国の在り方。
フランス革命で誕生し、以来何百年もたった国民国家というあり方が崩れかけている今、国と距離を置くディアスポラの思想は学ぶべきことが多いという見方を最後に提示します。
ディアスポラ、というのはもともとユダヤ人の離散を指す言葉ですが、このユダヤ人のディアスポラによる移住や交流は、刺激や豊かさをもたらしていたにもかかわらず、その多様性を否定したのが近代の国民国家であった。近代の国民国家の価値観と相対する価値観としてのディアスポラ。昨今、よく見かけるようになった“多様性”に通じるものとして、私は認識しました(現時点)
国というと巨大な存在に思えますが、もう少し自分に近づけるて考えてみるとわかりやすいのが、会社や学校といった組織なんですよね。
会社や学校といった組織が人の命を奪う権利がないように、私は、国だって人の命を道具のように奪うことはできないはずだと考えています。それなのに、なぜ国だけは、それが許されているかのようにふるまうのでしょう。
そんな思いで関心をもった一冊ですが、学ぶべきことは多く、一人でも多くの人に読んでもらい、考えてほしいと願っています。
勉強をするのは、良い成績をとって良い大学へ行き、給料のよい会社へ行くためではありません。
自由で自立した人間になるために勉強は必要なのです。
自立というのは自分の頭で考えて自分で判断ができるということ。そんな一節もあり、きっとそのためにこの本は役に立つ、うむうむとうなずきながら、本を閉じました。
うまくまとまらないけど、読みながら考えたことをメモメモ。