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楽しい

朝起きたら、顔を洗わずに畑に行くのが日課になった。
朝露が降りて、畑には水の玉が生まれている。
カエルが飛び散るように、跳ねている。
踏みつけないように、そっと歩く。

家の中は暑いけど、外は涼しい。
風が気持ちいい。
暑さの中に、湿気がなくなったように感じる。

顔を洗ってから、机に向かう。
4時間ほど休みなく、学びの時間の真っ只中にある時
ふとふと、
この前出向いた立田村のハスの花を思い出す。
思い出すのは、ふわっと、香りが再燃されるからである。
あの時の風には、湿気の中にハスの香りがあった。
閉じ込められた香りの粒子は、風に乗せられて開放へと向かっているようで、
風に香りがついていることを
明らかに認識できるほどだった。

記憶も、こんな風に閉じ込められていて、
吹く風に乗せられて開放に向かうのだろうか。


 

ご褒美
脳のエネルギー不足で、ハタラキが鈍ってきたのを感じたから、
コーヒーを淹れて、チーズケーキをカットして食べた。
お供は、
山尾三省さんの「火を焚きなさい」

村落においても また森林においても
低地においても また平地においても
拝むに足る人の住するところ その土地は楽しい 

火を焚きなさい 

人が、つい手を合わせたくなる場所は
美しいだけじゃなく
楽しい。
この言葉に魅了された。

まさに、
ハスの畑にいるとき
楽しかった。


 

葉の重なる真下で
すっくと立つハスには、つい手を合わせたくなった。
何かを手渡されたように感じたあの時間の感覚。
あれがあるから、
それが、何かを伝えたいと思うのだ。

山尾さんの、静かな言葉は
四方八方に心を開放してくれる。
まるで、風のように。

小さな頃から
詩が好きだったな。

謳われている
一つ一つのコトバの量・カサが大きい。

たった一言のコトバの中にある多くのインフォメーションが
私の心を膨らませてくれる。




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