【超ショートショート集】ねことものがたり 6 あまたす 2022年2月22日 23:00 【ねこのおやしき】「ですから、お宅の猫たちに苦情が…」 古びた屋敷の玄関の前で、役所の名札をつけた男が困ったように言う。 「帰っとくれ!私はちゃんとこの子らを世話してるよ!」 玄関扉の向こうからは、老女の声が響く。暫く押し問答が続いた後、男は観念して帰っていった。 「もう大丈夫よ」 心配そうに見守る猫たちにそう告げたのは、老いた黒猫だった。 【ねこのせんせい】やっと仕事が見つかった。小学生の家庭教師ということだが、破格の高給だ。浮かれつつ迎えた初日。「この子です」と部屋に通されて驚いた。机の上には一匹の猫が座っている。「教科書は机の上です。ではよろしくお願いします」部屋のドアが閉められる。俺と教科書と猫は互いに睨み合う。 【ねこのおみまい】にゃー。猫の声がした。庭に出てみると、ムクゲの下に猫が何匹も集まっていた。みんな、ムクゲに向かって鳴いてみたり、体をこすりつけたりしている。その下にいるのは、近所のボスだったうちの子だ。そうか、お盆だもんね。私は戸棚の奥から猫缶を取り出し、お客たちに振舞った。 いいなと思ったら応援しよう! 読んでいただき、誠にありがとうございました。 サポートいただけますと、中の人がスタバのラテにワンショット追加できるかもしれません。 チップで応援する #小説 #猫 #ショートストーリー #超短編小説 #妄想 #一次創作 #超ショートショート #猫の日 #マイクロノベル #猫と創作 6