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マリン・ブルーの忍者
日ノ津の海は近頃殊の外よく澄んで、海に落ちたら染まりそうなほどの深い藍色をしています。
良く晴れて風もなく蒸し暑い8月28日の10:00頃、いつも通り海の様子を見に行くと、防波堤の際にスズメダイやメジナなど、小魚が沢山。
いつもならこの時間はほとんど姿を見ないのに、と思ってよく見ると口を水面に向けて、何か食べているみたい。
早速バケツで水面の水を汲んできてビーカーに移すと、大きさ1~3mmのマリンブルーの生き物が素早く動き回っていました。
エビのようにピンと跳ねることもできます。その数は1Lに7匹ほど。これを食べに集まってきていたようです。
顕微鏡で観察すると、昆虫と同じ甲殻類で、海に住んでいる動物プランクトン、カイアシ類のポンテラの仲間でした(ゴキブリっぽいと言う人もいましたが・・・)。
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採集した個体はいろいろな大きさのものが含まれていましたが、皆同じ種類で、大人から子供までいろいろな成長段階が含まれていたためです。
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ポンテラの仲間は水面直下で暮らしているので、体の色がマリンブルーなのは、有害な紫外線を遮ったり、水の色に同化して敵から見えにくくする保護色なのではないかと報告している研究者がいます。
マリンブルーの体色で身を隠し、襲われた時には驚異的な瞬発力で逃げ切ろうとする。まるで忍者みたいですね!(お魚には食べられていましたが・・・)
青い海は貧栄養の代名詞みたいに言われていて、「水清ければ魚棲まず」ということわざもありますが、海士町の海は、水清くても魚がいて、それを支える餌が沢山あって、本当に豊かな海なんだな、と思いました。
海士町種苗センター:勢村