
【雑記】イメージボード
数日前に気が付いたことがある。
よそのお宅の暖かい居間によく飾られているいくつもの家族写真は、イメージボードなんだな、ということだ。
自分の親の写真を飾るなんて、考えたこともなかった。今なら自分が親を許してなくて怒りを隠していたんだと理解できる。子供が小さい時は、子供の写真は飾っていたけど、子供たちに「恥ずかしいから飾るな」と言われて片づけてからは、部屋に写真そのものがなくなった。
この数年、自分にとっては天変地異レベルのひどい出来事が起こり、いろいろと見つめ直す必要があった。
その前から作って飾っていたイメージボードがあったんだけど、自分の好きなものを集めて作ったものだった。それは好きなインテリアの部屋の写真や好きな女優さんや物語の主人公やドラマの場面などをコラージュしてA4サイズの額に入れていた。
最近ふと眺めていて気が付いた。天変地異レベルのひどい状況は、もしかしたら私が望んだものだったのかもしれない。大量のゾンビをせん滅する女戦士、弁護士事務所で次々と難問がふりかかり、それを波乗りのようにギリギリですり抜ける女弁護士たち、異世界に飛ばされて死にかけながらも成長していく主人公の少女……。過酷な人生や背景を持つ人物ばかりが、私のイメージボードには並んでいた。
ああ、と深く深くため息を吐いた。
ずっとずっと長い間、私はあまりにも自分自身に対し無防備で、あまりにも自分の心を無視していたんだなぁ。心のどこかで私は、誰も助けてくれないから、硬い心と決死の覚悟で難しい人生を歩かなくちゃと思い込んでいたのかもしれない。だからあんなことが起こるまで、その予兆にも気づかなかったのだ。
そもそも、おもしろいと思うものと、自分がなりたいものは別だよね。
ほんとうに、ひどいひどい状況だった私の現実世界は、もう抜けると、分かった。ただ、分かった。
今日、イメージボードは作り替えた。何が一番大事かって、今ははっきり分かる。A4の額の中は、笑っている家族の写真でいっぱいにした。元気でいつも笑っていてほしい家族たち。「愛でいっぱい」なんて言葉を恥ずかしいとは思わない。だって本当に私はそれが欲しいから。
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