SENA_AKIRA_2021

筆名変更して心新たに。時間感覚がおかしいと言われるので現在特訓中。ハッと気づくと数時間過ぎてたりする。前世は寿命がめちゃめちゃ長い宇宙人だったのかもしれない。

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筆名変更して心新たに。時間感覚がおかしいと言われるので現在特訓中。ハッと気づくと数時間過ぎてたりする。前世は寿命がめちゃめちゃ長い宇宙人だったのかもしれない。

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最近の記事

クリスマスツリーをしまう気分

一昨年も去年もクリスマスツリーを飾れなかった。 今年は飾れた。オーナメントも買い揃えた。 まだ足りないけど、少しづつ増やしていく楽しみと思えばいい。 年末が近づき、そろそろツリーをしまおうと思う。 海外みたいに春節辺りまで出しっぱなしでもいいかもしれないけど、丁寧な暮らしとは言えない。 日本の正月とクリスマスは、どちらもキラキラしてるが質感が違う。だから両方が部屋にあるのは合わない。 ツリーをしまって、また来年出そう。 来年はまたツリーが出せる生活をしよう。 真っ当な生活と

    • つぶやき 7/28

      絶望して全て投げ出してしまえたら楽だろうか。 「神様はその人が乗り越えられる試練しか与えない」と言う人がいるが本当だろうか。 自分一人ならなんとでもなる。 でも愛する人が苦しむ姿を見るのは叫び出したいほど心が震える。 助けることができるなら、あの頃に戻る方法があるのなら、何だってするのに。

      • 【短編小説】イロリ

        ■スクリーン1:  情けない自分。無価値の自分。 「じゃあ、何かあったらすぐ看護師さんに言うのよ」 「分かってる」 「じゃあ、また来るから」 「忙しいのにごめんなさい」 「変な気を使わないの」  麻紀おばさんはちょっとだけ怒ったように唇を結ぶ。 「ごめんなさい」 「あかりは何も心配しなくていいのよ。今は体を治すことだけ考えてればいいの」 「はい」  あかりは笑いながら手を振って麻紀おばさんを見送り、その姿が見えなくなってからふぅとため息をついた。  四人部屋の病室は白い

        • 【長編小説】ダウングレード #33完

          「安慶名、具合でも悪い?」  顔を上げると沖が真正面から顔をのぞき込んでいる。 「いや、別に」  耀は打ち合わせのメモに視線を戻した。 「じゃあ、変更点はこれだけだな? 読むだけなら問題ないけど、難しい質問きたらいつものように安慶名が回答よろしくな」 「ああ、……いや、やっぱり今日は質問は沖が答えて。あ、……いや、やっぱりいつも通りでいいよ」  沖が眉根を寄せた。 「お前今日変だよ。何かあった? 今日の説明会、地元のフリーペーパーが取材に来るんだろ? その件で何かあるのか?」

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        • 【長編小説】ダウングレード
          33本

        記事

          【長編小説】ダウングレード #32

          「安慶名くん、よくここが分かったね」 「店長に聞きました」 「君も何か飲む?」  菅原は手で座るように促すとテーブルの壁に立てかけてあるメニューを手に取った。  耀は菅原の向かいの席に腰掛けた。 「じゃあアルコールじゃないものを」 「君も中村と同じで水にこだわるんだろう? この店の水は変なくせがついていないらしいよ。中村が役所を辞める前は二人でよくここで飲んだ。水割の水や酒そのものも保管方法が悪いと味に影響するらしいね。水道水をそのまま使うなどありえないと中村はよく文句を言っ

          【長編小説】ダウングレード #32

          【長編小説】ダウングレード #31

           プレートを二つ抱えて店長がキッチンに戻ってきた。かなえはまだカウンター前に立ったままだ。 「かなえさん、コーヒー飲んでく? 俺たちまかない食うけど」  店長が洗い場にプレートを置いた。 「アゲちゃん、クローズの札出してよ」  耀はのろのろと反応しキッチンから出ると入り口のドアに向かった。 「安慶名くん、私ね……」  かなえが思い詰めたような顔で床を見つめている。  耀はまた何か説教されるのかと気が重かったが、立ち止まってかなえの次の言葉を待った。  目の前に

          【長編小説】ダウングレード #31

          【長編小説】ダウングレード #30

           夜中に息ができなくなり、このまま死んでしまうのではと和佳は毎晩思う。寝る前に飲むようにと薬を処方されたが、最初の薬は効果がなく、二度目の薬は翌朝ぼんやりしてしまい、余計不安で飲むのをやめた。  三井とのカウンセリングの時に絵を描くことを提案されたが、ただ色を塗りつぶすだけしかできなかった。 「何かやりたいことはある?」  そう聞かれて頭に浮かんだのは写真を撮ることだった。 「音楽を聴いたり、本を読んだりしてもいいと思うわよ」  三井の言葉に本は読みたいと思った。紙に「本」と

          【長編小説】ダウングレード #30

          【長編小説】ダウングレード #29

           テントで目覚めた朝はとても寒かったが、空気が澄んでいて気分は良かった。簡単な朝食の後川岸で水を動かすやり方を試したが、まるで水遊びしているような気分だった。耀はこんなことをしていていいのか内心自問していた。昼過ぎには雨が降りそうになったので撤収することになった。店長は耀と西川に指示出ししてあっという間に荷物をまとめると車に乗り込んだ。店長のアパートに着くと、荷物を部屋まで運ばせた。 「明日から店開けるから、アゲちゃん手伝ってよ」 「でも俺、手伝いとかしてていいんですか? も

          【長編小説】ダウングレード #29

          【長編小説】ダウングレード #28

           シェルターに来て一週間が過ぎた。  最初の二日間は、この施設のルールや分担する家事の確認、同居人たちへの簡単な紹介などで終わった。三日目の午後は、カウンセリングルームで白衣を着た女性と過ごした。いくつか質問をされたが、和佳は話すことができなかった。声が出なかったのだ。初日に病院で診察を受けた時もシェルターに来てからも、一方的に説明を受けることばかりだったので頷いていればよかった。だから質問されてようやく声が出ないと気づいた。自分の体がおかしくなってしまったのかと落ち着かない

          【長編小説】ダウングレード #28

          【長編小説】ダウングレード #27

           西川が車を停めて店長が古びたアパートに入って行ってから、もう十分近く経っていた。運転席の西川はハンドルに手をかけたまま道の先の景色を見ている。後部座席に座った耀も窓の外を眺めていた。  菅原は耀の処遇はこれから検討すると言っていた。市長には報告するだろう。G2のメンバーにも意見を聞くのかもしれない。溝口かなえはきっと辛口の意見を出すだろう。 「俺の処遇を決める会議とか、あるんですか?」  耀は西川の後頭部に向かって声をかけた。西川は肩越しに振り向いて、また前方を見た。 「会

          【長編小説】ダウングレード #27

          【長編小説】ダウングレード #26

           三十分ほどして西川が部屋に入ってきた。西川はまばたきを二回しただけで何も言わなかったが、耀はどんな顔をして西川を見ていいのか分からなかった。西川と前田に挟まれるようにシェルターの敷地を出て、西川の乗ってきた車に乗せられた。これから庁舎へ行き、すぐに菅原と面談をするという。まるで犯罪者扱いだ。耀ひとりで庁舎へ行く自由も与えられないのか。  西川が運転しながら耀の様子をうかがっているのが分かったが、何を話せばいいのかも分からず、耀は窓の外を流れる景色を眺めながら黙っていた。 「

          【長編小説】ダウングレード #26

          【長編小説】ダウングレード #25

           目が覚めると明るい病室のベッドに寝ていて、ヘッドフォンをつけた西川が枕元のイスに座って窓を眺めていた。目覚めた耀に気づいた西川はナースコールのボタンを押し、スマホで文字を打ってどこかに送信した。 「気分は?」  西川はヘッドフォンをはずして首にかけたまま、耀の顔をのぞき込んだ。  気分は? と聞かれ自分の気分がどういったものなのか感じてみようとしたが、よく分からない。自分の体が自分のものじゃないみたいに、腕や足を動かそうとするとギシギシと軋んだ。  耀は病室の中を見回した。

          【長編小説】ダウングレード #25

          【長編小説】ダウングレード #24

           真夜中の二車線道路にサラサラと水が流れ続けている。和佳はきっと近くにいるはずなのに場所の特定ができない。耀は立ち止まってぐるりと周りを見回した。そもそも水から伝わってくる情報は関係ない雑多なものが多く、それを無視はできないのでとても疲れた。何度も意識を集中させようと立ち止まり、水の揺れを起こして方向を修正しながら進んだ。  途中で、通り過ぎた自動販売機のそばに引き返し、路上に飛び出して転がっているミネラルウォーターのペットボトルを一本拾って栓を開けた。のどが渇いていたので一

          【長編小説】ダウングレード #24

          【長編小説】ダウングレード #23

          「かなえさん、そんな大声でなくても聞こえるからもっと落ち着いて下さい」  西川は助手席でスマホを耳から離して叫んでいる。スピーカーにしているのかと思うほど、通話相手の溝口かなえの声は大きい。 「何? ごめんなさい。ものすごい数の声が一斉にしゃべってて、よく聞こえないのよ。とにかく安慶名耀を止めろってみんな叫んでるの」 「安慶名くんがどこにいるか分かるか聞いて」  菅原がウインカーを出して右車線に入りながら言った。 「かなえさん! 安慶名くんがどの辺にいるって声たちは言ってます

          【長編小説】ダウングレード #23

          【長編小説】ダウングレード #22

           西川は今日も耀の家に居座っている。確か三日前に言われた言葉は「今晩泊めて」だったはずだ。自分は何日でもどうぞなどと言ったろうか?  西川は無口であまり話さない。朝起きて髭は剃るが(デリバリーを頼んだ時に菅原がテーブルに置きっぱなしにした小銭でシェーバーを買っていた)、あまり動き回らず身支度をし、耀の用意ができるのを待って一緒に出勤する。ここ数日は出張もないのか定時に終わるらしく、耀が帰宅するとすでに西川が部屋にいて、膝を抱えてヘッドホンで何やら聴いている。音漏れすることもな

          【長編小説】ダウングレード #22

          【長編小説】ダウングレード #21

           その部屋は主寝室らしく、セミダブルのベッドが部屋の中央に置かれている。壁にクローゼットが作り付けてあるが、中には何も入っていない。部屋と続きで洗面所とトイレがある。洗顔料や化粧水のサンプルが置かれている。ここに定住する住人はどうやらいないようだ。  岡田から和佳に連絡が来たのは昨日の午後だった。飯を食べに連れて行くと言われ、若い男の運転する車で夕方迎えに来て、居酒屋へ入った。何か話をするために呼び出されたのだと思っていたが、岡田は和佳に定食を注文し、自分は日本酒を飲みながら

          【長編小説】ダウングレード #21