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ここではなく、どこか遠くへ行きたい朝に食べるホットサンド(西荻ヒュッテ監修「ホットサンドにはさんで焼くだけレシピ」)
数ある調理道具の中で、買ってよかったもの、そうでもないものがあります。
ホットサンドメーカーは、買ってよかったとは思うものの、登場回数はさほど多くありません。
自分で作るホットサンドは、いつも同じような内容で、毎日食べたいというものでもないからです。
だけど、時々無性にたべたくなるのが、ホットサンド。
ホットサンドって、ありきたりのパン食にはないわくわく感があって、日常の中にある、非日常、という感じがします。
この本を監修したのは、山小屋バルの西荻ヒュッテというお店。
山小屋で、しかもバル。
常に「あああ、どこかに行きたい」「あああ、美味しいものを食べに行きたい」と願っている人間にとって、なんと魅力的な場所でしょう。
そんな西荻ヒュッテさんで提供される、200種類以上のホットサンドから66の厳選したレシピが詰まっているのが本書なのです。
66のレシピは、バラエティ豊か。
巻頭は、いかにもホットサンドという、ハムやツナを挟んだもの。
つぎに、白身魚のフライ、焼きサバ、焼き鳥、はんぺん、豚肉の生姜焼き、きんぴらごぼうなどのお惣菜を挟んだもの。
終盤は、あんことマスカルポーネチーズ、クリームチーズと焼きリンゴ、バナナとチョコレートなど、デザートにぴったりのもの。
どれもこれもビジュアルが魅力的。
どれから作ろうかなかなか決められず、まずは王道のハムとチーズを使ったクロックムッシュにしました。
クロックムッシュと、ただのハムチーズサンドとの違いは、ホワイトソースを使用すること。
オーブンやフライパンならまだしも、ホットサンドメーカーを使う場合、パンの上にホワイトソースを乗せて焼くのは無理なのでは、と思いましたが、そこはさすがプロの技。
ハムとチーズを挟んだパンに、少量のホワイトソースを塗り、さらにその上に溶けるチーズを乗せます。
この上にオーブンペーパーを被せてから蓋をするというテクニックで、ホットサンドメーカーを焦げ付かせることなく、いい焼き色をつけることができます。
パンに塗るホワイトソースは、ハインツの少量レトルトタイプを使いました。
ホワイトソースを手作りしたい場合は、グラタンなどを作ったとき、ホワイトソースをほんの少し取り分けておいて、翌日クロックムッシュするのもいいなと思います。
どこにも行けない朝。
8枚切りの食パン、ハム、チーズ、ホワイトソースと、ホットサンドメーカーがあれば、ほんの少しだけ、非日常の朝食を作れます。
美味しいホットサンドを、どこか景色のきれいな気持ちいい場所に出かけて、気兼ねなく作れる日まで。
西荻ヒュッテさんに足を運び、魅力的なメニューの中から、食べたいものを選べるようになる日まで。
あともうちょっと、窮屈な生活で辛抱しようと思います。