問題行動を改善するために問題行動の意味を理解する
もし問題行動を改善したいと思うなら、まずはその問題行動の意味をよく理解することが大切だと私は考えます。
問題行動を単純に「矯正すべき悪しきもの」と捉えるだけでは、行動変容はうまく進みません。
「その問題行動が何を物語っているのか」の視点を持つ
問題視すべき行動にはいろいろなケースがありますが、今回は「苦手な業務の回避行動」の仮想事例をもとにして綴ってみたいと思います。
Aさんはアパレル系ショップ店員。接客で過去に大きな失敗をしたことがあり、それ以来お客さんが入店してくると反射的にストックルームへ駆け込み、そのときやらなくてもいい業務に着手することで接客業務を回避するようになった。
問題行動を理解するために、「その問題行動が何を物語っているのか」の視点を持つことが役に立ちます。
上記仮想事例を「この回避行動が何を物語っているか」の視点から見つめてみると、これはAさんが過去の失敗を強く恐れているがゆえに起こる回避行動であることが窺えます。
ショップ店員なのに接客業務から逃げなければいけないくらいですから、相当な恐れを抱いていると考えられますね。
その仮説に従って考えてみると、その回避行動は「Aさんにとっての危機的な場面に直面しないための、Aさんなりの合理的な戦略だった」と捉えることができます。
つまりは、その回避行動はAさんが自分を危険に晒さないための、Aさんなりの適応戦略だったと考えられるわけです。
このような理解があると、その回避行動について「Aさんの体験している世界においては、Aさんはそうせざるを得なかったのかなぁ」なんて捉えられるようにもなったりします。
問題行動を「矯正すべき悪しきもの」ではなく「適応戦略」として捉える
こんなふうに、問題行動を単純に「矯正すべき悪しきもの」と捉えて直接的に問題行動を解消させようとするのではなく、まずは「これはAさんが自分の身を守るために、必要に応じてとっているAさんなりの適応戦略だったのだ」と、その問題行動の意味を理解することができるとよいと思います。
問題行動の意味を理解できれば「問題行動を矯正する」といったスパルタンな対症療法的改善策ではなく、問題行動を根治させるための原因療法的改善策が見出しやすくなるからです。
問題行動に潜む訴えを見つける
なお、問題行動はいつも何かを訴えていたりするものです。
上記仮想事例におけるAさんの回避行動は何を訴えていたのでしょう?
きっと「もう二度と接客での失敗という恐ろしい目に遭うわけにはいかない!」ってことなのでしょうね。
問題行動を改善するためには、その問題行動に潜んでいる訴えを見つけることが肝となります。
なぜなら、その訴えが問題行動を改善させるための大きなヒントを与えてくれるからです。
その訴えは「その問題行動が何を物語っているのか」の視点が持てていないと見つけられません。
問題行動に潜んでいる訴えを見つけるために、その視点を持つことが重要です。
なお、今回例に挙げた回避行動のケースでは、Aさんが「接客をしても大丈夫」と思えるようになることが問題行動を改善させるために何より重要だと考えます。
接客をすることに対する不安や恐怖を0にするのは難しいかもしれませんが、接客することについてAさんが察知している脅威を減らして、安心・安全を増やすことができれば行動変容が進んでいくと考えられます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?