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【予備試験過去問対策講座】「既判力」の論じ方(平成24年民事訴訟法)


はじめに

この記事は「予備試験過去問対策講座」のテーマ別講義記事です。
今回は、民事訴訟法の「既判力」に関する問題を取り上げます。解説編でパターンごとの論述方法を確認した後、実践編で平成24年民事訴訟法設問1を対象に、実際の論述の流れを確認していきます。

解説編

既判力とは

既判力とは、確定判決の訴訟物の判断について生じる拘束力であり、前訴の確定判決後、後訴において紛争の蒸し返しを防止する効力を持ちます。これにより、後訴の当事者は前訴判決の判断に反する主張をすることができず(既判力の消極的作用)、また、裁判所も前訴の判断を前提にしなければなりません(既判力の積極的作用)。

つまるところこれだけなので、弁論主義に関する問題等よりはずっとシンプルなはずなのですが、既判力に関する問題には特有の書きにくさがあります。これは主に、既判力の客観的範囲や主観的範囲、そして時的限界のような要素は理解しているもののどのような順番で論じるべきか固まっていない、という点に起因していることが多いと思います。

そこで、ここでは、すべての問題において論述の流れの基本となる「原則パターン」を整理した上、応用的に問われる「例外パターン」を原則に沿って確認していくことで、既判力について迷わず論述できる実践的な力を習得することを目指します。

原則パターン

既判力について問われた際、答えるべき内容は主に以下の2点です。

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