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【DX#7】ストアDX唯一のサイネージ成功事例?Walgreensも導入するCoolerScreensについて

Coolerscreensとは?

 Coolerscreensは、スマート冷蔵ショーケースの扉に搭載された小型の電子ディスプレイです。この技術は、顧客が商品を手にとる際に、商品情報やプロモーション、レシピ提案などのコンテンツを動画と音声で提供することができます。センサーにより、顧客の動きを検知し、カスタマイズされた情報を適切なタイミングで届けることが可能です。

 Coolerscreensは、従来の静的な販売促進ツールとは一線を画し、デジタル技術を活用した新しい顧客体験を創出しています。リアルタイムのデータ分析に基づいて最適なコミュニケーションを行うことで、顧客エンゲージメントの向上と売上げ増加をもたらす革新的なソリューションといえます。

左2つは動画広告が流れている、右3つは人感センサーにより商品が表示されている。

WalgreensにおけるCoolerscreensの導入

 Walgreensは、2021年よりCoolerscreensの導入を開始しました。主な目的は、店舗における顧客体験の向上と、マーケティング効果の最大化でした。これまでの静的な販売促進からデジタル領域に進出することで、時代に合わせた新しい顧客接点を構築しようとしています。

 導入によって期待される効果として、ターゲットを絞った的確なプロモーションが可能になること、購買意欲の喚起につながること、そしてレシピ提案などを通じた新たな顧客サービスの創出が挙げられます。実店舗とデジタルの融合により、リッチな顧客体験を実現できていると言えます。

ストアDXの具体例としてのCoolerscreens

 Coolerscreensは、ストアDXの具体例として注目すべき取り組みです。センサーで顧客の動きを検知することで、年齢や性別などの属性に応じたパーソナライズされたコンテンツを提供できます。例えば、男性顧客にはビールの情報を、女性顧客には野菜のレシピを推薦するなどです。

 また、Coolerscreensから収集したデータを分析することで、顧客の購買行動の理解が深まります。人気の商品、売れ残りの商品、プロモーションの効果など、より詳細な情報を基に、商品の最適な配置や、マーケティング戦略の改善につなげることができるでしょう。

Coolerscreens導入の影響

 Walgreensでは、Coolerscreensの導入後、特定の商品カテゴリーで売上が10%以上増加するなどの成果が出ています。また、顧客アンケートでは、Coolerscreensによるコンテンツを「役立つ」「楽しい」と評価する声が多数寄せられました。

 従業員からも、「商品知識が深まった」「プロモーションがわかりやすくなった」などの前向きな意見が聞かれます。デジタル技術の活用により、従業員とお客様の双方にメリットがもたらされていることがうかがえます。

小売業界におけるDXの将来性

 Coolerscreensのような革新的な技術は、小売業界全体に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。顧客に向けた的確なコミュニケーションと、購買データの高度な分析により、マーケティングの最適化を実現できます。単なる販売の場から、体験価値の高い空間へと店舗のあり方を進化させることができるでしょう。

まとめ

 Coolerscreensを導入したWalgreensの事例は、デジタル技術の活用がもたらす「ストアDXの新しい形」を体現しています。顧客には魅力的な新しい体験価値を、小売業者には販売促進の強力なツールをもたらしています。

 この取り組みから学べるのは、単に新しい技術を導入するだけでなく、顧客の行動データを丹念に分析し、最適なコミュニケーション手段を見出していくことの重要性です。他の小売業者も、Coolerscreensに代表される「リアルとデジタルの融合」から多くのヒントを得られるはずです。技術の進化に合わせてビジネスモデルを進化させていく、そんな発想の転換が求められています。

あとがき

 筆者は2021年から毎年WalgreensのCoolerScreensを定点観測をしております。残念ながら2023年2月にWalgreensはCoolerScreensの契約を終了しました。これにより、訴訟問題にまで発展している現実もあります。店舗によりクーラードア自体が撤去されていたりもします。

CoolerScreensの輝度がだいぶ落ちた。環境に悪いというクチコミに対応した?

 日本小売業でもサイネージが置かれる傾向がありますが、残念ながら一方的なストアDXのポーズとして棚や壁にディスプレイが置かれているだけ、というのが現実です。お客様はサイネージに表示された広告を見ないのです。
ところが、このCoolerScreensは違います。サイネージに表示された広告を見せるという「必然性」が保たれている点です。当然ながら、お客様はこの広告が表示されるクーラードアを見なければならないからです。この点でただのディスプレイであるサイネージ施策とは大きな差別化となっているのです。

 結論、便利か?と問われると、なんとも言えません。商品在庫もリアルタイムで変わるわけではありませんでしたし、クーラードアを開けてみないと中がわかりません。しかし、商品のプロモーションとしてはなかなか面白く、ドアの前に行くと上部センサーにより商品の陳列画面に変わります。ただ商品が陳列されているだけでなく、商品自体が跳ねたり、揺れたり、伸びたりと様々なアニメーションでアピールをしてくれます。こういった目を引く仕掛けをふんだんに盛り込んでいるサイネージ施策を、CoolerScreens以外で見たことがありません。結果はどうあれ、このくらいのクオリティを担保しなければストアDXは起こせないという事例だと思います。「サイネージを置いたらストアDX」という短絡的ものでなく、本気で取り組む企業が増えますように。

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