見出し画像

ゆで卵が美しいお店は、すべての料理がおいしい【titoten@三軒茶屋】

三軒茶屋駅から徒歩数分の場所にある
「titoten(チトテン)」は、朝食とアペロのお店。

アペロとは、ディナー前に軽くお酒を楽しむことなんだとか。
私はまだアペロを経験できておらず、もっぱらモーニング。

ここのモーニングが私の好みど真ん中なのだ。

お食事メニューはプレートとオープンサンド。
スープもある。


世にも美しいプレートが目の前に

私は少しずつ色んなものを食べたいので、いつもプレート。パンの盛り合わせとジャムも付いてくる。

あー、美しい。ずっと愛でていたい。
でも食べたい。

季節によって変わるお野菜のデリが10種類近く、そして自家製のお肉も乗る。

お野菜はひとつひとつ調理法が違う。
サラダもあればマリネやラペ、グリルやボイルなど。素材の味と食感を活かした様々な味付け。シンプルだけど抜群に美味しいって、実は一番難しいと私は思う。

お肉はほどよい塩気。その場でスライスしてくれるハムはとてもジューシー。パテは噛むほどにお肉の旨みと甘みが溢れ出る。
時々「お肉にお好みでどうぞ」と添えられるバジルペーストにまた心を持っていかれる。  

中央に鎮座するのがウフマヨ。ウフマヨとはソースがかかったゆで卵のこと。

この卵が、まぁキレイなこと。私はこの卵に一目惚れしたと言っても過言ではない。

白くツルツルお肌の卵をくるむようにかけられたソース、散りばめられた胡椒。時々ハーブが花飾りのように添えられている。

卵を中心として彩られたこの小さな世界、いや、宇宙があまりに美しく、私は毎度心が震える。

このツルルンお肌をいつまでも守りたいけれど、食べたい気持ちがいつしか勝る。心を鬼にしてナイフを入れると、プリップリの白身から黄身がとろ〜んと流れ出てくる。黄身が幸せを運ぶ姿に惚れぼれする。

そして、この卵が転がらないように支えていたのはフムスだと知る。姿を見せずにサポート役に徹するとは、なんて健気なの。
とか思ったけど、食べたら超絶品だった。サポート役とかいってごめんなさい。

卵をこんなに可愛くおめかしする人が作る料理は、どれもおいしい。どの食材とも丁寧に向き合うからこそ、食材への愛があるからこそ、この美しいプレートが出来上がるのだ。

それぞれを単体で食べても、デリ同士を合わせて食べてもおいしい。
この小さな世界が、宇宙が、美味しいを掛け合わせて世の中を平和にしている。


無限ループさせるパンとジャム

プレートには、チェスト船堀さんのパン盛り合わせと自家製のジャムも付いてくる。
船堀さんは、「パン飲み」に適した ワインと相性の良いパンを作っているのだそう。そりゃあ、このプレートに合わないわけがない。

ほんのり焼いた3種類ほどのパンとともに、数種類のジャムも登場。
このジャムがまた一ひねりも二ひねりも効いている。
季節によって、いちごとローズマリー、パイナップルとクローブ、柿とシナモン、冬瓜とりんご、など。焦がしキャラメルだけは何度か出会ったことがあるけれど、それ以外はほぼ季節もの。

私は普段ジャムを多用する方ではないけれど、ここではパン&ジャムというシンプルスタイルの満足度が高すぎて、ジャムを無限に周回してしまう。

さらに最近の私は、プレートのデリと肉料理を乗せて、オンリーワンサンドを楽しむという技まで覚えた。ジャムを隠し味にしちゃうことだってある。200%人の手を借りて、自分が料理上手になった気分を味わっている。

ちなみに、パンの盛り合わせは大小あって、単品でも頼める。ワインとともに、まさしく「パン飲み」ができるのだ。
私が歩んできた まあまあ長い人生でそんなオシャレなオーダーをする場面はなかったけれど、そういう選択肢を知っているというだけで上質な大人の気分になる。


息をするか、スープを頼むか

スープはたいてい2種類ある。1つはポタージュ、もう1つは季節によって鶏肉と冬瓜のスープ、鶏団子の生姜スープなど。

夏はとうもろこしのポタージュだった

私は無類のスープ好き。メニューに「スープ」とあればつい頼みたくなってしまう。
特にポタージュは、息をするぐらい迷わずにオーダーする。

時にとうもろこし、さつまいも、新玉ねぎなど。スープなんだけど、軽く弾力を感じるほどにトロッとドロッとしていてお野菜がたっぷり。あとは、オリーブオイルや胡椒で深みやコクを出している。時々、船堀さんのパンで作ったクルトンや、デュカが散りばめられていることもある。塩は最低限に抑えられ素材の味が全面に出ているので、口の中でじわじわとお野菜の甘みが広がる。

鶏肉と冬瓜のスープ

スープってどうしてこんなに幸せをくれるのか。長らく考えているけれど答えは出ない。でも本当に好き。

私は毎回プレートを食べるのでスープは小を選ぶけど、大きいサイズもあるので、それとパン盛りとアルコール、とかもできちゃうみたい。


おいしすぎる は時に苦しい

私はこれまで迷うことなくプレートだった。一緒に行った友人もそうだった。
でも初めて夫と行ったとき、夫はオープンサンドを選んだ。

プレートだと色々食べられるのに〜と思ったけど、オープンサンドもどんなものか食べてみたかったので、むしろ良しとした。(勝手にもらう気で、勝手に上から目線でごめんなさい)

初めて行った時は「ハムとすもものサンド」。
むむ、その単語の並びだけで心惹かれる。でも私はブレないぞ。私にはあの黄金のプレートがあるんだから。

それなのに出てきてビックリ。なんという麗しき姿。しかも、ハムとすももの下にたっぷりのチーズが潜んでいた。たしかフェタチーズだっけな。
チーズのコクとなめらかなハムの塩みと、甘酸っぱいすもものジューシーさが相まって最高だった。

ハムとすもものサンド

別の日は「かぼちゃとグリルチキンのサンド」だと説明された。前者よりも想像しやすい味。
それなのに、出てきたら厚切りのれんこんも乗っていた。むしろ主役ぐらいの存在感で。香ばしく柔らかなチキンとシャキシャキのれんこんを、マッシュされたカボチャが見事に繋いでいた。
想像を二段階ぐらい超える素晴らしき味わいだった。

かぼちゃとグリルチキン

大切なピースを微妙に省いてシンプルに説明されるから、出てきた時にビックリしちゃう。いや、もちろん良い意味でなんだけど。

そして、こんなに言っているけど、私は夫の頼んだものを一口もらっているだけ。

ただ、このサンドがおいしすぎるが故に悩みが生じた。私はこれから毎回、プレートとサンドを迷わなければいけない。今までは、サンドの存在を目に入れないようにしてきたのに。とてつもなくおいしいことを知ってしまったから。

おいしすぎるとは時に苦しいものだと知った。


輝きを放つナチュラルワイン

店内は1ドリンク制。ハンドドリップのコーヒーから、自家製シロップのドリンク、オーガニックティーなど。さらに、ビールやシードル、ナチュラルワインもある。どれも自家製、もしくは選び抜かれたこだわりのドリンク。
そして、今回は触れられなかったけどスコーンやケーキなどの焼き菓子もある。

すなわち、スコーンとコーヒーで軽め朝食もできるし、しっかりモーニングもできるし、ワインとパンの「パン飲み」もできるし、早めのティータイムも楽しめる。最高なお店ということ。
アペロは別のお料理も出るとのことなので、いつか必ず行かなければ!

ここまで美味しいもの好きの欲を満たしてくれるお店が存在してくれることに、心からの感謝を。

カウンターのみの小さなお店だし、お食事もドリンクも丁寧に作られるので、少人数で時間がたっぷりある時にオススメですよ。

[Photo : Masayuki Nakano](一部を除く)

titoten | チトテン
世田谷区太子堂4-25-5
03-6805-5830
朝食とアペロの時間は、予約方法は
下記instagramにてご確認ください
▷Instagram:@tito.ten
(2024/12/25現在)

いいなと思ったら応援しよう!