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働き方【ショートショート857字】

 リモートワークは僕にとって今や夢の働き方である。リモートワークが始まってすぐの頃は、朝7時に起き、朝食を食べて身支度をして、8時50分にはパソコンの前に座っていたものだ。しかし、日を追うごとにだんだんとルーズになっていき、起きる時間も7時から8時、さらにギリギリを攻めて8時55分とどんどん遅くなった。

 服装も全身スーツに着替えていたのが、まずは上半身だけスーツで下はジャージになり、上半身もYシャツにジャージになり、最近ではパジャマのまま仕事をしている。

 働く場所も変わった。最初はパソコンデスクできちっと座って仕事をしていたのが、ローテーブルになり、寝転がりだし、最近はベッドの中で横になったまま仕事をしている。

 今日も8時55分の目覚ましで起き、枕元に置いてあるノートパソコンを引き寄せて仕事を開始したところ、課長からチャットが来た。この課長は僕が新卒で入社したときからお世話になっている、僕がとても尊敬している人だ。働き方も考え方も僕と似ている、と思う。

 課長からのメッセージはこうだった。

「お前、パジャマ姿でベッドの中から仕事してない?」

 僕の心臓はドキリと跳ねた。なんでバレたんだろう?カメラを確認したが、大丈夫、オフになっている。仕事だってちゃんとこなしているし、サボっているとは思われないはずだけど…

 でもバレたからにはしょうがない。僕は観念してメッセージを返す。

「はい、実はそうです…」


 すると課長はZOOMを繋いできた。ルームに入ると、僕と同じくパジャマ姿でベッドの中にいる課長の姿が映し出された。

「いやぁ正直、部署内でお前が一番仕事こなしてるんだよ。俺と考え方が似ているお前のことだから、俺と同じような環境で仕事してるんじゃないかと思ってな。

 今社内でリモートワーク解除の話が出てるけど俺嫌なんだよ。お前も嫌だろう?『リモートワークは効率がいいです』って俺らで部長を説得しない?」

「もちろんです。やりましょう!」

 課長は僕と考え方が似ている、と改めて思った。この労働環境を逃してなるものか。

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