ある日の夜。そして、ある日突然。

家族で四国へ旅行に行った。

幸せで楽しくて、嬉しい時間。

大好きな両親と一緒に過ごす時間。

ああ、私はやっぱり幸せ者だ。
幼いのに、自分で自分の人生をそう思っていた。

けれど、ある日から
何かがおかしい。

子供心にそう感じる出来事。

あれ?なんで?

そう思わされる出来事が
少しずつ少しずつ起こり出す。


ある日、
夜寝ようとしたら

お布団の位置が変わっていた。

私、母、父と寝ていたけれど、
私が真ん中になっている。

え?私端っこがいい。
真ん中嫌だ。

そう思ったのと、
直感なのか?父と母の間で寝ることで、2人の心が離れてしまうと勘付いた。

だから、私は自分でお布団を入れ替えて
壁側に寝た。

これでよし!!
これで父と母も仲直りするだろう。

子供心に、両親が喧嘩したんだと勘付いていたんだろう。
無意識に私はそう思った記憶がある。


部屋に来た母が、
私が壁側に寝ていることを見て

慌てて私に言う。

おまんはこっち!
そっちじゃない!!

え?なんで?
私こっちがいい!!

あかんよ!!
こっち!そこではもう寝れない!!

そう言って、布団を入れ替えられた。


次の日、私は懲りずに布団を変えた。

そしてそのまま寝た。

夜中に目が覚める。
あれ?私このままここで寝れたんや。
お母さん、私を起こさなかった。
いつも通り隣には両親が寝てるのかな?

そう思って目を開けてみると、
隣の部屋に電気がついていて
父が1人座って何かを読んでいる。

その背中はとても小さく、肩を落としているように感じ、

ただならぬ雰囲気を感じた。

そして、隣で寝ているはずの母も居ない。


あれ?何かがおかしい。
何かがおかしいぞ。

子供ながらに察知した。

父の元へ近づく。

『お父さんどうしたん?』
『お母さんは?』


すると、父は
さっと、読んでいた紙をたたみ
私に見えないように閉じて手の中に隠した。

『何もないよ。お母さん大丈夫よ。
帰ってくるよ。
もう寝なさい。』


その言葉を聞いて、私は
少し気になりながらも
大丈夫なんだ。
じゃあ寝よう。

そう思って眠りについた。

朝起きて、台所へ行くと

お母さんが朝ごはんのお粥を入れてくれた。

あ、お母さん帰ってきてる。
良かった。

あれ?お父さんは?

『お父さんはもう仕事へ行ったよ。』


お母さんはこう言って、
私は、その言葉を信じた。


それから、お父さんは家に帰ってきたことがない。

仕事に行ったと言ったお父さんが、
家に帰ってくることがなくなった日。

私は家中を探した。

何を探したかというと、
お父さんが読んでいた手紙。

お母さんがお父さんに書いた手紙。

あの日、夜中にお母さんがいなくなって、
お父さんが読んでいた手紙。

あの紙に、真相が書かれているに違いない。
そんな風に、子供ながらに直感が働いた。

お父さんとお母さんに何が起こったのか知りたくなった。

棚の一つの引き出しに
その手紙は入れられていた。

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