【BLEACH二次創作】藍染惣右介編 ~思惑と幻想の先~ 第一話
霊王の失望
霊王宮の入り口が、静かに音を立てて開く。厳かな光が広がる中、藍染惣右介は悠然と一歩を踏み出した。その姿には余裕が漂い、彼の目には計り知れない知略が宿っていた。
「これが……霊王宮か。」
目の前に広がる荘厳な光景。しかし、藍染の表情には微塵の感動も見られない。ただ、無関心と薄笑いが浮かぶのみだった。数百年の陰謀を巡らせた末に到達した場所。それが、この程度かと彼は心の中で吐き捨てる。
霊王は目の前にいた。浮かぶようにして存在し、見る者に畏怖を抱かせるその姿。だが、藍染にとってそれは違った。
「くだらない……」
低い声が響いた。その言葉に霊王の周囲を護る零番隊の隊士たちが瞬時に動きを見せる。
零番隊、動く
零番隊五人のうち、一人が前に進み出た。彼は広げた手を藍染に向け、静かに口を開く。
「これ以上の侵入は許可されない。藍染惣右介、ここで引き返せ。」
その言葉に藍染は微笑む。
「おかしいな。ここにいるのは『神』ではなく、ただの人形だと分かったからこそ、その後を考えているだけだ。」
その言葉が引き金だった。零番隊の一人が巨大な刀を振り下ろし、藍染の頭上へ迫る。しかし、藍染は一切動かない。刀は彼を切り裂くどころか、空を切る。
「なっ……?」
隊士はその瞬間、自分の胸元に何かを感じた。気づけば、自らの剣先が仲間の一人を貫いている。
鏡花水月、発動
「君たちの誇りは素晴らしいが、視界を見た瞬間から敗北していた。」
藍染の冷ややかな声が響く。零番隊の隊士たちは各々が攻撃を仕掛けるが、全て無意味だった。すべての動きが狂わされ、刀は無関係な場所を斬りつけ、力ある術は虚空へ消え去る。
「霊王の護衛がこの程度か……いや、むしろこれが尸魂界の限界なのだろう。」
零番隊の最後の一人が地に伏し、微動だにしなくなった。藍染は無関心な目で彼らを一瞥すると、霊王へと歩み寄る。
霊王への失望
「お前がこの世界の中心だというのか?」
藍染は霊王を見据え、その言葉を吐き捨てた。彼にとって、霊王はただの道具だった。この存在を守るために築かれた全てのシステム。彼にとって、それらは愚かとしか言いようがなかった。
「くだらないものだ……こんなものを守るために、何人の犠牲があった?」
藍染は静かに鏡花水月を構える。そして、その目が一瞬、別の光を宿す。
「試してみる価値はあるかもしれない。」